淡時間

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1/25/2025, 2:12:57 PM

『終わらない物語』

この気持ちを理解してしまったのだから

またひとつ先へ進めてしまうのでしょう

スキップも後戻りもできないのでしょう


好きだなんて言いたくもなかったから

嫌いだなんて思いたくもなかったから


いつまでも、いつまでも

解像度の低いこの物語だけは

終われなくて、終わらなくて

1/24/2025, 2:41:56 PM

『やさしい嘘』

不自然なほどに透き通った言葉の端々も

不自然なほどに安心する柔らかい体温も

不自然なほどに重ねた時効を待つ約束も

不自然なほどに穏やかな歪が育つ日常も

すべて、すべて都合のいい勘違いだった

ずっと、ずっと幸せと錯覚できなかった


やさしいやさしいあなた様が

嘘をつくはずがないというのに

1/21/2025, 3:45:10 PM

『羅針盤』

もしこの波にさらわれてしまえたのなら

私は船に乗ったことを後悔するのだろうか

もしこの風が無くなってしまったのなら

私はこのままここにいてもいいのだろうか


いつまでも尾を引くあの夢も

どうでも良かったあの瞬間も

あなたの目に映った北極星も

私にはほんの少し眩しすぎて

今はただ揺れ続ける船の上で

厚い厚い雲に流され続けている

1/20/2025, 3:20:41 PM

『明日に向かって歩く、でも』

いない

いない

いくら探しても過去は戻らない

いらない

いらない

ならば涙を流す今に価値なぞ無い


これが、私の欲した今日か?

これが、私の選んだ明日か?

ええ、そうですとも。

抱えきれない後悔が私を明日に連れて行く

見るに堪えないこの生傷が私を奮い立たせる


さあ、笑え。

1/20/2025, 5:19:23 AM

『ただひとりの君へ』

ただひとりのあなたへ

私ができなかったことは

幾つも、幾つも、幾つでも

湿気た花火達が教えてくれていて


なにひとつ、たったのひとつも

果たせなかったまま始まる季節は

何度も、何度も、何度でも

寄せては返す波と一緒に去っていった


ひとひとり居なくなった砂浜で

裸足のままかき集めた冷たい砂は

掬って、掬って、掬っても

私の熱を奪いながら零れ落ちている

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