淡時間

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12/28/2024, 2:33:12 PM

『冬休み』

雪も知らない街に

波が尽きない海に

夜を知らない灯に

ぽつん、と

私は忘れられたまま


かけ違えたボタンを外すように

滲んだ不正解を白く丸つけて

解けた靴ひもを結び直すように

黒板を薄い教科書で引っ掻く


きっとこのまま

ずっとこのまま

冬が終わってしまう

12/27/2024, 12:51:49 PM

『手ぶくろ』

あなたの指の細さが

あなたの手の大きさが

あなたの手の柔らかさが

たまらなくあたたかくて

私を撫でるあなたの全てを

包み隠して仕舞いたかった


あなたの指輪に憧れていた

ただ、ただ憧れていたのだ

12/26/2024, 1:34:40 PM

『変わらないものはない』

絆創膏だらけの部屋と汚いカーテン

埃を被った何かの箱と破いた袋

いつか当たり前になるのだろうか


錆び付いた蛇口と動かない秒針

甘い匂いの残る植木鉢

いつから当たり前になっていたのだろうか



あの花瓶に罅が入る瞬間

あなたはなぜか泣いていた


造花で溢れたこんなものでさえ

いつか当たり前になるはずだったのだろうか

12/25/2024, 12:55:48 PM

『クリスマスの過ごし方』

買ったばかりの小説

買ったばかりの手帳

買ったばかりのバッグ

買ったばかりのカメラ


目眩がするのも

動悸がするのも

耳鳴りがするのも

きっときっと

街がまぶしすぎるから

私にはまぶしすぎたから

12/23/2024, 1:24:00 PM

『プレゼント』

私とあなたは違うのだから

私が私のままできることを

私のこの手が届く範囲で

私自身の価値の証明として

私は私を誇り救い続ける


いつか噛み締める幸せの為に

いくらでも自分の踏み台となって

大人の自分への贈り物としよう

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