12/19/2024, 3:18:33 PM
『寂しさ』
ふと、思う
入浴剤のように私も溶けることができたのなら
この気持ちごと全部湯船に溶かしてみる
あまりにも多くて浴槽を溢れ出てしまった
気持ちも 私も 記憶も 価値も 全部
全部全部全部混ぜてしまえ
混ざりきったら捨ててしまおう
栓を抜いて忘れてしまおう
あなただけに知って欲しい私がたくさん、いた
あなただけに知って欲しい事がたくさん、あった
詰まっている排水口だけが音をたて、泣いている
12/16/2024, 4:31:12 PM
『風邪』
目が覚めてしまった
じぐじぐ、と刺されるような痛み
ああそうか、この映画が煩かった
絡まったビデオテープを壁に叩きつける
コップに残ったコーラを飲み干す
どくどく、と濁った空気が全身にまわる
窓を叩く冷たい風と子羊にも似た雲
怖くて恐ろしくて寂しくてからだを覆い隠す
視界の隅が暗くなる頃
ようやく私は空に手を伸ばせた
12/15/2024, 4:59:21 PM
『雪を待つ』
夢を見る
あかぎれだらけの薬指
氷の張ったドブ川と厚い雲
放置された長靴と割れたバケツ
まだ夢に見る
売れ残った花火と笑い声
少し高いあなたの体温
甘くて消えてしまいそうな香水
明るくなっていく世界で1人
私はまだ眠った振りを続けている
12/12/2024, 2:54:25 PM
『心と心』
つまらない音楽とゆっくり歩く
あなたの歩幅となら踊りたくなったのに
あの文字を読み上げてみる
甘えるのと依存の違いってなんだろう
追い抜かす救急車と強い風
私は今どんな顔をしたらいいのだろう
12/9/2024, 3:36:16 PM
『手を繋いで』
何でもしまい込むあなたのポケットには
悪い癖と一緒に寂しさも入っていて
生温い街路灯と朝を待つ花の匂いが
冷えきった私には丁度良かった
あなたの袖を摘んだのは
歩行者信号が点滅してたからで、
あなたの目が見れないのは
使い捨てのコンタクトが乾いたからで、
あなたの影が近いのは
手袋を忘れてしまったから