淡時間

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12/8/2024, 5:32:02 PM

『ありがとう、ごめんね』

減りの早いごめんねの回数券

あなたと会う度に空気を吹き込むお財布

減りの遅いありがとうの回数券

郵便受けにたまってるあなたの口癖

ここじゃないどこかへ行く為の降車ボタン


めいっぱい息を吸い込む

貝殻に靴を揃えてみる

私は海に攫われたかったのだ。

12/7/2024, 1:02:49 PM

『部屋の片隅で』

無理やり開けた窓に腰掛ける

あなたと過ごしたやけに狭い部屋


あの時、あなたに渡した私の大事は

崩れたら大変な隅っこのものではなかった


いつか落とした花瓶と床の傷に

私を笑うように揺れる埃が寄り添っていた

12/4/2024, 1:42:54 PM

『夢と現実』

きっとここは夢の途中

膨れ上がった希望に押し潰される

バラ売りされない愛と平和は在庫処分


きっとここは夢の途中

ずっとそうやって嫌なことから逃げていればいい

放置したフライパンとこびり付いた砂糖


きっとここは夢の途中

噛み砕いたフエラムネからはもう音は出ない

諦めて改札を抜けたら涙は乾いていた

12/3/2024, 2:48:24 PM

『さよならは言わないで』


耳栓にもならないあなたの声が

雑音になる瞬間


わたしの喉元を塞ぐ言葉たちが

産声あげる瞬間


あなたの手の温かさを

何故か思い出した

12/2/2024, 12:59:20 PM

誰かの真似事を続けるだけの居場所

どうしようもなくなっただけの大事


やっと心臓が私を認めてくれた

これで私は心臓を認識できる

やっと呼吸が私を認めてくれた

これで私は呼吸を認識できる


振り返っても誰もいないけど

引きちぎった花だけは手に残ってて

でもきっと私はどうしようもないから

枯れてようやくそれを愛してしまうのだろう

『光と闇の狭間で』

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