【良いお年を】
「それでは皆さん、良いお年を〜」
そう言って、僕は今年最後の配信を終えた。
「う〜さん、ありがと〜」
「今年もお世話になりました!」
「来年もよろしくです」
「う〜さんも良いお年をね〜」.
みんなの温かいメッセージがタブレットの画面に次々浮かび上がる。1年前には考えられなかった光景が今、僕の目の前に広がっていた。
年が明けてからすぐに、最も大切な人と最も大切な仕事を何とも納得いかない形で失った。来るべき時が来たんだと冷静に受け止められたのは最初だけで、日を追うごとに喪失感が大きくなっていった。
「失くした分だけ何か得るものがないと」
そんな気持ちで配信を始めたのは今年3月のこと。今年の干支にちなんで自らを「う〜さん」と名乗り、取るに足らないどうでもいいような話を定期的に流した。
「こんなおっさんの話、誰も聞かないだろうけど…」と言って始めた配信は、この力の抜け具合が心地いいのか徐々に登録してくれる人が増えた。10人から100人、1000人から10000人、10万人から一気に100万人を超えたのは、人気配信者に誘われてコラボした直後だった。
時には身に覚えのない誹謗中傷を受けたり、配信そのものが面白いと思えなくなったこともあった。そんなとき、必ず誰かが手を差し伸べてくれた。
「大変だったね」
「そんな無理しなくていいよ」
「う〜さんがホントに楽しいと思えるようになるまで待ってるからね」
画面上には文字だけが並ぶ。でも、その光景に何度救われたことだろう。多くの人に支えられながら、最初と変わらぬスタンスで今も僕は配信を続けられている。
1年の終わりをたくさんの人たちと迎えられ、本当によかった。自分以外の誰かに「良いお年を」と呼びかけられる幸せを、これほど噛み締めた年はない。
来年の今ごろもみんなで「良いお年を」と言えるように、また1年を楽しく過ごそう。とりあえず、午前零時を過ぎたら年明け1発目の配信スタートだ。
【1年間を振り返る】
「書く習慣」に限ってだけ言えば、2023年は本当に大切な1年になりました。テーマに沿って文章を考えるのも創作モノにチャレンジするのも、どちらも苦手で避けてきたこと。でも、読んでくれた皆さんが❤︎をつけてくれることで「また頑張ろう」と気持ちが生まれ、こうして書き続けることができました。
今年僕の文章に出会ってくれた皆さん、
本当にありがとう。感謝しかありません。
来年もまた、書けたら書きます(笑)
というスタンスで続けていきますので、
よければおつきあいください。
それでは股、良いお年を。
【プレゼント】
今ね、たった今ですよ
明日あなたにプレゼントが届きま〜す♪
って嬉しい知らせをいただいたんですよ
自分で自分に宛てた贈り物なんだけど
一目惚れしたあの子はお高くないけど
決してお安くはない子だったから
本気で何日も迷って考えあぐねて…
で、結局ポチッとしたわけです
大切な人と「事」を理不尽に失った、
この特別な1年をしっかり生き抜いて、
年齢も勤続年数も節目を迎えた自分を
ちゃんと認めて褒めたかったから
というわけで、明日私のもとには
ネコネコサンタさんがやって来ます
ああ、プレゼントが待ち遠しいなぁ〜
あ、いや、後日請求書も届くんだけどね
【寂しさ】
君がいなくなったときから今までの間、
流れてくるSNSのタイムラインで必ず
君の名前を見つけることができる
僕も知ってるエピソードの数々、
僕も知らなかった君の横顔、
その全てが優しくて愛おしい
今でもずっと君と過ごしているような
そんな気がして嬉しい
それでも、ふと寂しさを感じる時がある
粉雪のように音もなく、深々と降ったり
すきま風のようにふと忍び込んできたり
そんなときは少しだけ体温が下がる
旅立った君が置いてったものに触れると、
冷えた身体に温もりが戻ってくるから
この寂しさとともに生きていくのも
案外悪くはないのかもしれない
今ではそう思えるようになった
きっとずっと一緒にいる その方が楽しい
【夢と現実】
「これが現実だったらいいのに」
と思う夢を見ることはあまりないが、
「これが夢ならどんなにいいことか…」
という現実の出来事ならめちゃくちゃある
とりあえず、過去に起こってしまった
思い出したくないような出来事は
「あれは全部夢の中のことだった」
ということにして自分を納得させている
だから今、僕は生きている