水酸化物イオン

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3/16/2024, 12:27:33 AM

突如、私の目から星が溢れた。
正確に言えば、星のような涙が溢れた。

いくらなんでもおかしい、と思い、急遽眼科を受診した。
診断名は「星涙病」
なんでも、片想いになると稀に発症するらしい。
私に発症したのは、きっと、この想いに気が付いてしまったからだろう。気付かないまま忘れてしまえば、発症しなかった。
医療的な治療法はなく、治す為には片想いの相手と両想いになるしかない。放置すれば、視覚がだんだん失われていく。
ということは、私のこの病は治ることは100%無い。

あの人には、別に愛する人がいた。
なんて無謀な恋なのだろう。悲恋とも言えない、そもそも始まりすらしない恋なんて、この世に存在していいはずがない。だから、不幸になる人があるのだ。

今日、私は、あの人の、あの人の愛する人との接吻を見た。

私の視界は、星のない真っ暗な夜空になった。

3/15/2024, 4:36:58 AM

安らかに眠る、という言葉の方が耳馴染みがあると私は思う。何の悩みもなく、心を穏やかにし、穢れのない瞳をその瞼の下にしまい込み、その日の幕を閉じる。それが「安らかに眠る」という言葉ではないだろうか。

安らかな瞳、というと、「安らか」という言葉の意味は上記と大して変わらないが、瞳という部分が大きな違いだろう。
何の悩みもなく、心を穏やかにし、穢れのない瞳……
そう考えると、その瞳を持つ者はきっと、自身の死期を察した者だと私は思う。
その上で、自身の人生に何の未練もない者のみが持つ瞳なのではないだろうか。

そんな瞳で人生の幕を閉じることが出来るような、後悔のない人生を送れたらなんて幸せなんだろう。
既に後悔だらけの私には微塵も関係の無い話だ。

望むだけ望んでみてもいいかもしれないが。