突如、私の目から星が溢れた。
正確に言えば、星のような涙が溢れた。
いくらなんでもおかしい、と思い、急遽眼科を受診した。
診断名は「星涙病」
なんでも、片想いになると稀に発症するらしい。
私に発症したのは、きっと、この想いに気が付いてしまったからだろう。気付かないまま忘れてしまえば、発症しなかった。
医療的な治療法はなく、治す為には片想いの相手と両想いになるしかない。放置すれば、視覚がだんだん失われていく。
ということは、私のこの病は治ることは100%無い。
あの人には、別に愛する人がいた。
なんて無謀な恋なのだろう。悲恋とも言えない、そもそも始まりすらしない恋なんて、この世に存在していいはずがない。だから、不幸になる人があるのだ。
今日、私は、あの人の、あの人の愛する人との接吻を見た。
私の視界は、星のない真っ暗な夜空になった。
3/16/2024, 12:27:33 AM