「好き嫌い」
あんたの
そういうとこ
ほんと好きで
嫌いだよ
自分は辛いのに
私の辛い話しを
ちゃんと
聴いてくれるんだよね
あんたが
「辛い思いをしてる」って
知ってるのに
つい……話しちゃう
私も、私なんだけど
でも……
……だって、落ち着くんだ
完全に私のワガママ、だよ
知ってて
あんたは聴いてくれる、って
いう安心感
でも……
……罪悪感で苦しくなる
あんたは私の心に
安心感と罪悪感
光と影とを落としていく
影が大きくなるたびに
あんたの
その優しさが
……
嫌いになっていく
好き、嫌いは
いつだって
隣り合わせ
背中合わせで
あんたは
たまには私を
突き放したっていいんだよ
「街」
それぞれの想いを
胸に抱えた
人と人とが
一瞬の出逢いと
別れを繰り返す街
巡りあい
すれ違いの
ドラマを見続け
見守り続けた街は
巨大な万華鏡
光と影とが
ネオンに彩られ
美しさと哀しみを
投影していく
夜の街
朝には
透明な心で
それぞれ歩み
夜には
色とりどりの
心を落としていく街
「やりたいこと」
「やりたいこと」
全部
ワガママに
したいまま
あるがまま
できたら……
そう思えば 想うぼどに
全部…中途半端になっていく
その度に挫折を繰り返して
「やりたいこと」に
少し一線を引いてしまう
「やりたいこと」から
背を向けてしまいたくなる
ワタシの ボクの
「やりたいこと」…ってなんだっけ
「やりたいこと」が
心の奥に沈んでいく気がした
それが
時々、思い出したように
ぷかん、と浮かんでくるから
中途半端な
「やりたいこと」を
また、全力でやってしまおうとする
結局
「やりたいこと」
全部、すべて
好きなことなんだという結論
中途半端、でも
未完成、だとしても
未熟、でさえも
それでいいんだ
私の好き、という
一直線の想いは
そんな挫折を繰り返し
それさえも
軽く追い越して
「やりたいこと」へと
向かっていく
*この最後の七行からなる一節は五行歌の公募「歩」に出した私の五行歌の作品から引っ張って、加筆したものです。
「朝日の温もり」
日頃はまったく
感じなかったんだ
私の世界は
最近、雨降りばかりで
降っても、降っても
一向に晴れない世界、は夜
いつ、止むのよ……
雨に濡れて
冷たくなっていく
身体
誰か、この雨を止めてよ……
叫びは声にならずに
冷たくなっていく
心
いつしか感情さえも雨に流されて
感情のない身体だけが
ただ機械のように動くだけ
動くだけの、毎日
毎日のなかでも止まった
私だけの世界
世界がほんの少し動いたのは
雨足が弱まってから
何故?という疑問
あなたという不思議な存在
私の世界があなたに
受け止められた
抱きしめられた、と感じたとき
雨は止んだ
私の聲は あなたに届いていた
待ちわびていた
雨上がりの夜
ようやく私は
朝日の温もりを感じた
あなたの側で
「岐路」
視界に遠く
遠く映る山に
山に続く道のりが幾重にも
幾重にも見える。
今から
これから
あの山を目指して
目指して僕らは進む
進むために路を選んでいる。
選ぶための逡巡
逡巡はするけれど
時間はそれほど
待ってはくれなくて
とりあえず進む路。
歩みながらでも
進めばいいんだ
進まないと
路は目の前には現れないのだ。