【旅路の果てに】
疲れた。うん、疲れた。
これは紛れもない。疲労だ。
特別、隣にいてくれる人はいない。
自分は独りなんだって思う。
でも、時間が経てば明日は来る。
カーテンから差し込む光に、嫌気が刺した。
【あなたに届けたい】
「お、いい感じの曲ができたな」
音楽活動をしている僕は、今回は失恋をテーマにしてみた。
早速、君の隣で弾いて聴かせようと思い立ったとき。
もう君は隣にいないことに気づいた。
「…そうだった、一週間前に別れたのか、」
“音楽ばっか”に目を向けないで。と。
この歌が配信されたら、こっそり君も聴いていないかな。
この歌は君にプレイリストに入ってくれるかな。
【ミッドナイト】
「なんか、今日は上手くいかなかったな…」
君は今日一日した選択を後悔しているようだった。
「まぁ、どうせもう過去のことだろう?」
「昨日のことをもう過去に入れるな」
君と肩を寄せ合ってソファーでただ会話をする。
時々話すことがなくなる時の沈黙が妙に愛しかった。
君と今年、初めての夜ふかし。
ミッドナイトを過ごした。
【安心と不安】
君にとっての“安心”は僕であって欲しいし
僕にとっての“不安”は君であって欲しい。
君にとっての“居場所”は僕の隣であって欲しいし
僕にとっての“拠り所”は君の隣でありたいんだ。
君にとっての“恋人”は僕であって欲しいし
僕にとっての“友達”は君であって欲しい。
【特別な夜】
夜中、異様な物音に目を覚ます。
その正体は雨だった。今日一日中振り続けるらしい。
一度気にするともう放っておくことはできない。
仕方ないからコーヒーを淹れるためにベッドから離れる。
「熱っ…」
熱がりながら、雨音を聞いて飲んでいると人の気配がした
それは最愛なる恋人だった。起こしてしまったのか。
よたよたとこちらに歩いてきたと思うと、突然抱きついてきた。
「…なんか特別な夜みたい、」