【柔らかい雨】
好きな人から告白された。
本当に嬉しかった。でも嬉しくなかった。
なぜなら、あの人は違う人にも告白していたから。
「もう好きな人は(名前)しかいないから」って…
その言い方、他にも候補はいたってことなの?
まぁ実際そうだもんね。他にも2人好きだったらしいし。
でも自分は、都合の良い恋愛しかしないつもり。
相手が好きなら自分も好き。相手が嫌いなら自分も嫌い。
__そんな自分が嫌いだったのを、励ますかにように
柔らかい雨は、ずっと振り続けていた。
【始まりはいつも】
始まりはいつも否定から入る。
自分が自分のやりたいことを、口に出すと
「何言ってんの?wあんたじゃ絶対無理w」
「もっと…現実見てくれませんか?」
なんか矛盾してるような気がする。
親はこう自分に躾けてきた。
『いい?大きな夢を持つことが大事なの』
でも大きくなったら、親はこう言った。
『いい加減、現実見なさい』
【星座】
「見て、あの星座。すっごい綺麗に見えるね」
「あ、あの星座って…」
君と一緒に来た星空がよく見える、思い出の丘で。
「本当に、星好きなんだね」
「やっぱり大好き」
僕は昨日交通事故に遭った。
「君との約束を守れなくてごめんね。」
君はずっと声をあげて泣き叫んでいた。
【ジャングルジム】
昔、転校した親友とジャングルジムに
願い事を他のみんなに内緒で書いたことを
思い出した。今も残っているだろうか?
そう思い、夜中に親友と書いた公園に向かった。
黄色のインクが大分禿げていて、茶色が目立つ。
グルッと一周回った途中で、ある文字を見つけた。
「 と結ばれますように」と今にも
消え入りそうな文字を。この空白は一体
誰の名前なんだろうか。
【声が聞こえる】
数年前に別れた君とバッタリ再開してしまった。
「久しぶり」と声をかけると
「久しぶり、元気してた?」と返ってきた。
自分は少し話がしたくて声をかけようとした瞬間。
「おーい、会計終わったよ〜」と聞きなれない声が
聞こえた。 なんだ、もういるのか…。
「またね、元気で!」と声が聞こえる。