【夜明け前】
最近、やけに寝れなくなっていた。
それに気づいた君は、深夜にも関わらず
ずっとメールをしてくれていた。
今日は日曜日。天気予報によると、昼から雨らしい。
「今日はあまり外に出られないね」と送った。
数分後に君は、こうメッセージを送ってきた。
『じゃあ、夜明け前に一緒に会おうよ。』
【喪失感】
「まって、ねぇずっと一緒って言ったよね、?
なんで、おいていかないで…ねぇ、ひどいよ…
はやくもどってきて、こっちきてよ!
はなしてっ、ねぇおねがい…はなして…いたいよぉ、」
『ごめんね、また迎えに行くから。』
監禁、約3年間。行方不明になっていた__さん。
昔はこいつ無しでも生きられていた。
でも今となっちゃ__さんはこいつなしじゃ生きていられない。
『喪失感』と『絶望感』に押しに押されている。
でも数十年後には、こいつを見たらきっと
震え上がってトラウマが蘇るだろうな_。
【胸の鼓動】
「俺、お前のこと好きかも」
そう伝えてきたのは昔からの幼馴染だった。
バンドを正式に始めて売れ始めた頃、
一緒の楽屋で自主練中に急に伝えてきた。
でも、幼馴染は続けて言う。
「もし良かったら僕と…」
とっくに自分の顔は赤く、胸の鼓動も今はうるさく
耳障りに思えた。
【鳥のように】
友達からいじめを受けているわけではない。
親からも虐待されてるわけでもない。
平和に、幸せに暮らせているはずなのに
なんでか、この世界から消えたくなる。
人のことを気にしすぎて、1人で勝手に疲れて
1人で勝手に泣いて、1人で勝手に自分を痛めつけてる。
自分たちも、いつかは鳥のように解放される。
狭くて小さい檻の中から、解放されるんだ。
毎日コツコツと、自分を人一倍褒めて
頑張らないで、テキトーにやり過ごすことが大事。
【夜の海】
最近、疲れが溜まってきているようだ。
だから、僕は同じバンドメンバーを連れて
2人で夜の海に行った。
真夜中にも関わらず、少し眠たそうにして
君は愚痴を言っている。でも、その愚痴ですら
愛おしく思えた。海に到着して、車を降りる。
すると、潮の匂いが鼻を刺激した。
今夜は、満月で1人寂しく輝いている。
「綺麗」と呟いた僕と君は、靴を脱いで
海で遊ぶ。ひんやりとしていた。冷たかった。
僕は、君の手を取って君の腰をこっちに寄せる。
赤く染まる君の頬に、優しくそっとキスを落とす_。
次の曲は、同性恋愛者…だなんてどうだろうか。