さよならは言わないで
わたくし、ロンドンが大好きなんです。
昼は活気があるのにどこか落ち着いていて、
夜は優雅さと明るさを表すように美しいですわ。
わたくし、ロンドンが大好きなんです。
ロンドン塔が花火を背景に、
凛々しく建っているのを想像すると心が弾みますわ。
わたくし、
ロンドンが大好きなんです。
あなたと出逢えたロンドンが
大好きなんです。
ほんとうに
ほんとうにね
さよならは言わないでね
日本語で言ったら、寂しくなるから
明るく英語でお願いね
goodbye.って
飛べない翼
雲の上から誰かを見下ろす
天国は今日も戦国時代
飛べない翼で飛んでみようか
明るいうちに
あなたとわたし
ままは言いました
ゆうえんちは楽しいところだと
ぱぱは言いました
ふうせんをかってあげるねと
あなたは言いました
楽しい?と
私は言いました
私は言いました
私は言いました
君はどう?と
そしたら返事が返ってこなくって
気づいたら独りだった
ゆうえんちは楽しいけれど
あなたはもっと眩しかった
眠りにつく前に
ロウソクを灯し、地下へと降りていく
涼しくて、ゾッとする空気が私の肌を撫でた
地下には無数の牢屋があって、その中で誰かがしくしくと泣いている
私はこの人のことを知らないけれども、知っているんだ
そっとロウソクをその「誰か」に近づける
するとその人はあっという間にロウソクに吸い込まれて、ロウソクの中で踊り始めた
火となって
私は寝室に戻り、タンスの上にロウソクを置いた
相変わらず楽しそうに火は踊っている
それを見つめて、私は眠りについた
その理由を心に秘めながら
幽霊のロウソクが、私の心の病を治すすべなのだ
子供のように
ある日の夜、
桜が咲き乱れる街並みの中
家屋の屋根の上を飛び回る
御用だ御用だと提灯を持った男たちが、街を歩く人々をかき分けて走っていく
しっかりとした正装を着た人は避けたくても避けれず、着物に足を取られ、転ぶ人が多々見られた
私は軽やかな足取りで、颯爽と走る
屋根を渡り、時に街に降り、クルクルと回りながら笑って走る
子供のように