駄目元で告白してみたら、まさかのOKを貰えてしまった。
信じられなかった。
だって、クラスで一番人気のある彼が、わたしを選ぶだなんて思いもしない。
ただ卒業してしまう前に気持ちだけでも知ってもらいたい。
そんな自己満足からの告白だったのに。
「大丈夫。ちゃんと好きだから」
彼はそう言葉にしてくれる。
手を繋いでくれる。
彼の言葉も手の温もりも、確かに安心させてくれた。
でも、それでも、わたしはわたしに自信が持てなかった。
いつだって不安が付き纏う。
彼からいつ別れ話を聞くことになるのか。
いつこの手の温もりが離れていってしまうのか。
強張ったままのわたしに彼は呆れることなく、何度も何度も「大丈夫」と繰り返し告げた。
卒業しても、ずっと一緒なんだからと軽く笑った。
そのおまじないのような「大丈夫」という言葉は、この先もずっと続くことになる。
大人になって、隣に彼がいることが当たり前になってからも、ずっとずっと。
そのことを、この頃のわたしはまだ知らない。
お題『安心と不安』
写真が嫌いだ。
正確にいうと、写真に撮られることが嫌いだ。
自ら撮影するのはいい。
できれば被写体は人や動物より自然や建物、風景の方がいいが。
だが自分が写されるのだけはいただけない。
何しろ写真写りがすこぶる悪いのだ。
そのせいで卒業アルバムは勿論のこと、振袖の写真に至っては人生最大の失敗作として世に残されてしまった。
撮影してくださった写真館の方には本当に申し訳ないことをしたと思っている。
店の評判を落としていないといいが。
もういっそのこと自分の写真は全て逆光であればいいのにとすら思う。
顔が黒く見えなければ、諸々を気にしなくて済むのに。
お題『逆光』
こんな夢を見た、と某巨匠のように書き始められたらよかったのだが、あいにく昨晩見た夢を何も覚えていなかった。
断片ひとつ、思い出すことができない。
泡沫にも程がある。
ただ、こんな夢を見ることが多い、というお題なら少し語れる。
自分の見る夢は、旅の夢ばかりだ。
自宅から出発することもあれば、気付けば電車に乗っていたり。
何だったら既に目的地に着いていて、知らない街を歩いていることもある。
夢だから、脳が勝手に作り上げた想像の街だから「知らない街」という訳ではない。
いつもいつも「自分は遠くへ旅に来ているから知らない街に今いるのだ」という確固たる自覚があった。
夢という自覚はないのに、旅をしているという自覚だけは一人前で、夢の中で嬉々として知らない人と出会い、知らない物を口にして、知らない景色を眺めて感動もする。
そうまでして、自分は旅をしたいのだ。
夢の中でまで、自分は遠くへ行きたいのだ。
まるで現実の何かから逃げ出すかのように。
お題『こんな夢を見た』
過去に行くか、未来に行くか。
それが問題だ。
タイムマシーンが手に入るかどうかはさておき。
そもそもタイムマシーンって実現できる技術なの?という根本的疑問も傍に置いておく。
個人的には過去を見に行きたい。
自分が生まれるより遥か昔に。
例えば、邪馬台国はどこにあったのか。
できることなら直接見に行きたい。
個人的には九州説を推しているので、畿内説を論破できるものをゲットしたい。
畿内にあったら、潔く諦める。
問題は、今の日本語が通じなさそうなところと、弥生時代にはもう争いがあったので結構危なそうなところ。
あとは推しの土方歳三に会いに行きたい。
わずか百五十年ほど遡るだけで会える。
あのイケメンに。
邪馬台国に行くよりお手軽だ。
問題は、幕末の日本は弥生時代以上に物騒なところだ。
正直生き残れる気がしない。
ちなみに、未来には毛ほども興味はない。
自分が死んだ後の未来なら尚更。
どうせ碌なことにはなっていないだろうから。
お題『タイムマシーン』
例えば、友だちと時間を忘れて飲み会で盛り上がった夜だとか。
例えば、推しのライブ帰りで歩いていても地面を感じないほど浮かれてる夜だとか。
例えば、恋人からいつもとは違う言葉や物を貰って記念日になった夜だとか。
そんな夜は確実に、誰にでも分かりやすい「特別な夜」だろう。
でも毎日仕事に追われて、恋人はおろか親しい友人すらほぼいない自分には縁のないもの。
それでも。
そんな自分でも。
冬の寒くて、それでいて空気の澄んだ夜空にくっきりはっきり冬の大三角とオリオン座を見つけられた夜は、何だか特別な夜に感じるのだ。
お題『特別な夜』