1/10/2026, 11:53:32 AM
「成人式にはコンタクトで来ること。じゃないと絶交だから!」
小学生の頃からの親友にそう言われて、着物レンタル代にコンタクトレンズ代も上乗せする羽目になった。
しかもコンタクトレンズを装着するには、ある程度の慣らし期間も必要だったため、正直着物を選ぶ時より余程面倒だった。
未だ慣れないコンタクトレンズを四苦八苦しながら目に入れて、朝早くから振袖を着付けてもらう。
それだけで疲労困憊、よろよろしながら会場に向かうと、予想外の出来事に遭遇した。
何故かやたらと声をかけられた。しかも男性に。
中には中学校、高校の同級生もいた。
ただみんな揃って、わたしを「わたし」として認識していないみたいだった。
正体を明かせば、これまたみんな揃って同じ表情をした。
目を丸くして「嘘だろ」なんて言うのだ。
どういうことなの。
完全に混乱状態のわたしをようやく見つけてくれた親友は、それはもう晴れやかな笑顔でこう宣った。
「野暮ったいメガネ外せば美人だって、わたしはとっくの昔から知ってたんだからね!」
お題『20歳』
1/9/2026, 12:58:22 PM
仕事からの帰り道、西の空に細い三日月が見えた。
だだっ広い空にぽつんと笑顔の口だけが浮かんでいる。
目や鼻はどこに置いてきたのだろう。
俺を嗤うには口だけで十分ということか。
こなくそ、と拳を握りしめる。
嗤っていられるのも今のうちだ。
そのうちおまえはまん丸な目をして俺を見下ろすだろう。
驚いて見開いた目を隠しきれず、片目だけを空に浮かべて。
満月の夜、覚悟しておけよ。
それまでに俺は成長してやるんだ。
お題『三日月』