伊古野わらび

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仕事からの帰り道、西の空に細い三日月が見えた。
だだっ広い空にぽつんと笑顔の口だけが浮かんでいる。
目や鼻はどこに置いてきたのだろう。
俺を嗤うには口だけで十分ということか。

こなくそ、と拳を握りしめる。
嗤っていられるのも今のうちだ。
そのうちおまえはまん丸な目をして俺を見下ろすだろう。
驚いて見開いた目を隠しきれず、片目だけを空に浮かべて。

満月の夜、覚悟しておけよ。
それまでに俺は成長してやるんだ。



お題『三日月』

1/9/2026, 12:58:22 PM