外食したとき、メニューを選んでいると
「あ、これ美味しそう〜」
なんて君の言葉が脳裏をよぎる。
ぱっと前の席を見るが、君の姿はいない。
買い物をするときも、家にいるときも、
ずっと君の姿を追い求める。
でももうどこにもいない君の姿。
葬式、ちゃんと別れの挨拶ができなかった。
昨日まで一緒にいた人が、次の日にはもういない
なんて、考えたこともなかったんだ。
私は幸せな君との思い出に浸って生きる。
学校に行くべきなのに部屋から出ず、
毎日ネットサーフィン。
親も諦めて何も言わなくなった。
毎日意味のないことをしている。
そんな私が大嫌いだ。
双子のあなたと私。
性格は反対で、友人が多いあなたと友人のいない私。
親にあなたと比べられるたびに私はあなたを恨んだ。
私はあなたが嫌いなのに、あなたは私に微笑む。
なんで?なんでなの?
でももう聞けない、あなたはもういないから。
理由くらい教えてから逝ってもよかったじゃない。
いつも雨の日は暗くてジメッとしていて、頭が
痛くなる。
でも今日の雨は明るくて、湿度もちょうどよくて、
いつもの頭痛もしなかった。
いつもの重たい雨がずっと柔らかければいいのに。
私は夢の中で、暗い謎の空間で男に追いかけれていた。
いつも捕まりそうになって夢から覚める。
「いつから悪夢を見出したんだっけ…」
……そうだ、思い出した。
悪夢を見始めたのは、学校で虐められ始めた時からだ。
私は入学初日、皆の前での挨拶でうまく話せず、
クラス皆に笑われてしまった。
最初は少しイジられるだけだったが、いつしか
暴力や暴言が当たり前になった。
ある日、転校生が来た。
その子は私にも優しくしてくれた。
私がいじめられると、彼女は助けてくれた。
私はもう久しぶりに人の優しさに触れた気がした。
その日の晩、私はまた悪夢を見た。
でもいつもとは違って、先には一筋の光が見えた。
その光に向かって走ると、私は心地よく朝を迎えた。
「…学校行こう!」
その日は陰鬱な気分ではなく、明るく登校した。
現実でも、あの一筋の光があると思えたから。