私の世界は小さく、窮屈だ。
抜け出したいと思っても、硬くて冷たくて、
助けを求めてみても、
私の声は届くことなく消えてしまう。
「ねぇ、こっちにおいでよ」
小さな私が無邪気に笑いかける。
出られやしないとわかってるくせに。
いつしか助けを乞うことはなくなった。
どうせ叫んでも無駄なんだから。
静かで冷たくて暗いこの世界は、気が狂いそうだった。
「ねぇ、こっちにおいで」
顔にモヤがかかった少年が私の手を引く。
思い出しそうで思い出せない。
でも、この手の温もりを私は知っている。
私の声は届かなかったくせに、固く閉ざされて出られないはずだったのに、少年はいとも簡単にここから連れ出してしまう。
「ねぇ、世界は広いよ」
少年はそう言って笑顔を向ける。
あぁ、君だったのか、私を連れ出してくれたのは、
私もまだ捨てたもんじゃないな。
私は私を諦めない。
かつて君がしてくれたように
私も手を差し伸べてみようかな。
はしゃぐ小学生を見て懐かしくなる。
あぁ、俺にもこんな時あったんだなぁ。
いつの間にかすっかり大人になってしまって重荷が増えた。
逃げ出したい。
そう思う俺とは裏腹に時は止ってくれない。
今日も重い体を引きずって働きコンビニ飯をかき込む。
唯一楽しいと言えるのは夜景を肴に酒を飲むことだけ。
「俺、なんのために生きてるんだろう」
ぼーっと窓の外を眺めていると。
強い風が吹き抜ける。
カーテンが舞い風景が揺れる。
「なんだ、これ」
涙が頬を伝って落ちる。
「なんで置いていくんだよ、、、」
君を迎えに行く、そう約束したのに、一向に姿を確認出来ない。
どうにも彼女の言葉が引っかかる。
私を探さないでと、
僕は本当ならこんな場所にふさわしくないのかもしれない。そして君にも、
でもどうしても諦めることが出来なくて、つい姿を追ってしまう。
見つけた!
姿は遠いが間違いなく君だ。
そして、どうやら彼女も僕に気づいたようだ。
僕は、駆け出す。
しかし君は踊るようにその場から抜け出し、僕の方を見ようとはしない。
鐘が鳴る、ついに彼女は見えなくなった。
時を告げる鐘がなる。
何処かのお姫様にでもなった気がした。
さようなら、そう言い駆け出す。
これ以上は、もう会えない。
きっと貴方を困らせてしまうから、
ごめんね、
そう言い溢れ出す涙を飲みこみ姿を消した。
言葉はいらない、、、。
ただ、、さ、君に笑っていて欲しいだけなんだよ。
ボロボロになってあなたの方が辛いはずなのに、
まるで何も無かったかのように振舞って。
不器用な笑顔で私を心配させまいとして
大丈夫だった?貴方は私にそう聞いた。
「無事よ、馬鹿、、本当に、、、良かった、、」
溢れだしてくる涙で貴方のことが見えなくなってしまって袖で涙を拭ってもまた見えなくなって。
それがまた悔しくて、、、。
「貴方って、、大事なこと私に言ってくれないよねでも、でもね、わかるの言葉がなくても会えなくても、貴方はきっと私の事思ってくれてるって。」