睦月

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3/19/2023, 11:00:55 AM

『胸が高鳴る』

学生の頃は、まさかこんな惨めな人生になるなんて想像もしていなかった。
卒業したら、就職して、いずれ結婚して…なんて何の根拠もなく思っていた。
それなのに…
仕事もない お金もない 恋人もいない
夢も希望も何もない
自分なんかこの世にいてもいなくても同じ、死んだところで誰ひとり悲しんでくれる人もない。
自分は家族や社会に必要とされ役立つ人間だと思いたかった。
そんな心の支えが欲しかった。
けれど、自分は誰からも必要とされていない。
現実に打ちのめされ、どん底に突き落とされた気分は、更に暗闇の世界に簡単に引きずり込んでしまう。
もがいて あがいて それでも無理で…

だけど…あの日…
どす黒い闇に覆われていた自分の人生に
一筋の光明が差した気がした
心洗われるような、美しい音色
無意識に涙が流れた
次々に涙が溢れ…止まらない…
「私…まだ泣ける…だったら…また笑えるかも…」

胸が高鳴るって、こんな感じなのだろうか?
何の根拠も自信もないのに
何だかなんとかなりそうな気がした

あの日、一歩を踏み出す勇気をくれた
誰かが弾いてたピアノの音色
今でも
自分を見失いそうになるたびに思い出す







3/18/2023, 10:47:35 AM

『不条理』

現実を取り巻く生活は
いつでもホラーだ

こんなにも
暴力 恐怖 苦痛
に満ち溢れ

価値がないものは全てムダ
ムダは存在してはいけない
ムダは排除すべし的社会

効率的や合理性
結果にだけ価値を置くような世界で

まるで幽霊にでもなったかのように
誰からも気づかれない孤独
現実感覚の喪失 トラウマ

ホラーにも似た
不条理に満ち溢れた現実を

権力にあぐらをかいて
「先生」ともちあげられている
大人たちは 
今後どのように責任を取るつもりだろうか

あらゆる問題が複雑に絡まり合い
どこから解けばいいのか分からず
行き詰まったまま
次の世代にバトンを渡す
そんな不条理だけはやめて欲しい




3/17/2023, 10:53:19 AM

『泣かないよ』

もう泣かないよ
私を傷つけるだけの
あなたのためになんて

絶対に泣かないよ
私を苦しめるだけの
あなたのためになんて

苦しんだ分 傷ついた分
思い切り笑って生きてやる

あなたに奪われた時間も
あなたに裏切られた思いも

全部無かったことにはできないけど…

あなたより う~んと幸せになって
ザマアミロって言ってやるんだ!

だから生きてやる!
もうこれ以上
あなたに何も奪わせたりしない!

3/16/2023, 10:42:32 AM

『怖がり』

「お化けなんていない!そんなの非科学的だ!」
キミは必死でそう言った
でも 明らかに声が震えている
「幽霊もお化けも人間が作り出した…」
言い掛けたキミの口をふさぎ静かにするように促して物陰に隠れた
学校の七不思議の真相究明のため
卒業したばかりの学校に数人の友達と深夜忍び込んだ
キミが本当は怖がりなのは知っていた
それでも無理矢理に連れて来たのは
キミが明日 遠くの街に行ってしまうからというのもあった
今まで3年間ずっと一緒に過ごして来て沢山の思い出はあるけど…
最後にもうひとつ とっておきの思い出を
絶対にキミが忘れないような思い出を作りたかった
作戦は失敗に終わった
「お前 本当に最低だな。これで最後って日にこんな仕打ち…ずっと友達でいたかったのに…」
キミは…そのまま1人で帰ってしまった
それっきり会うことはなくなった
一度だけ「ごめん」とLINEしたが既読がつくことはなく連絡も途絶えた
あれから数年がたち
久しぶりの同窓会に出席した
もしかしたらキミが来ているかも…
そんな期待と緊張があって 途中で何度か引き返そうかとも思った
会場に行くと懐かしい顔ぶれが揃っていた
「遅いよ。相変わらず遅刻癖は直ってないんだな」
背後から聞こえた声は 懐かしい声
あの日から ずっと聞きたかったキミの声
色々な思いがこみ上げてきて
泣きそうになるのをこらえて しばらく振り向くこともできなかった
「悪かったなあ」
そう言って振り向けば キミの笑顔があると思っていた
だけど…
振り向いた その先にキミは…

3/15/2023, 10:36:32 AM

『星が溢れる』

星が溢れる空 銀河鉄道に乗って
あなたの住む星目指し
出発進行!

誰にもナイショ秘密だよ

季節外れの
織姫と彦星になった気分

小さな惑星 ひとつひとつに
花の苗でも植えてみる?

土星のわっかでお弁当食べる?

サンドイッチに唐揚げ
ハンバーグにコロッケ
ポテトサラダ卵焼き
あなたの大好きなもの
いっぱい作ってきたの

お菓子も飲み物も
リュックに詰め込めるだけ詰めてきた

銀河遊泳終わったら
あなたの住む星で暮らしてもいいかしら?







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