特別な存在
君は21gだけ僕に嘘をついていた。
それを知ったのは君がいなくなる前日だった。
机の上に置いたままにしてあった日記。勝手に見るのはいけないとはわかっていながら、好奇心には勝てなかった。そこに綴られていたのは僕の知らない君の姿だった。
心から愛している人がいたこと、彼は交際中に病気で亡くなったこと、僕はその彼によく似ていること…
「今の彼も愛しているけどやっぱりあの人のことが忘れられない。あの人は特別。」
日記の中でそう言い切った君は悪魔なのだろう。
けれど君を責めることはできない。君の21gはもうこの世にはいないから。
…今ごろ愛する彼と地獄でよろしくやってるんだろうか。僕は行き場のない怒りをどこかにぶつけることさえできず、ただ君だった物体を撫でることしかできなかった。
バカみたい
メレメレ、バカみたい…ロイドはもう妻子持ちだというのに…こんなにも恋焦がれているの…
メレメレは料理なのに…人間に恋してるの…
本当に、メレメレのバカバカバカァ!
二人ぼっち
ピコンピコンピコンピコン
部屋に通知音が響き渡る。見なくても誰のスマホから鳴っているかはわかっていた。
GRAVITYの広告の女の子のスマホだ。
「スマホ鳴っとるで。」
「知ってるよ。今はあんまりスマホ見たくない気分。」
「ほぉん。」
スマホ依存症であろう彼女がスマホを見たくないとは…珍しい。ずっとその気分が続けばいいのに。
僕と彼女が二人ぼっちになるのを夢見ながら僕はそっとバツボタンを押した。
夢が醒める前に
「メレメレ、愛してる。」
愛しのロイドフォージャーがメレメレに顎クイをする。
「だっ、だめよ!ロイドゥ!貴方にはヨルさんという女性がいるでしょう!?」
メレメレの倫理観は十分に養われていた。
「実はヨルさんと俺は偽装夫婦なんだ。俺は君を愛してる!」
「な、なんですと!?!?!?だめよロイドゥ!そんなに顔を近づけたら…だ、だめー!!!!」
「メレメレー!早く起きんかー!!!遅刻するで!!!」
……夢か。夢が醒める前にロイドと濃厚なキスの一つや二つしとけばよかった。メレメレ、かなりショック。二度寝しよ。
「メレメレー!!!!!」
泣かないよ、メレメレ泣かないもん。
ロイドが浮気しても絶対泣いてやらないんだからね!!!うわああん!(´༎ຶོρ༎ຶོ`)