「冬になったら」
酷い話だけど
僕は彼女は冬を迎えられないと…
そう覚悟してた
でも今、彼女は冬を迎えようとしていて
生きる気力を持ち
回復を目指している
「良くなってきてるね」
「もう少しだね」
出てくるのは優しく残酷な嘘
冬になったら
一緒に雪を見て
クリスマスを過ごして
年越しそばもお節も食べて
「寒いね」「はやく春にならないかな」
って言うんだ
そんな叶わないかもしれない夢を見る
【僕の小さな現実の物語】
「はなればなれ」
人はひとりで産まれて
ひとりで死んでいく
故意でなければ誰かと一緒に、はあり得ない
彼女を「ひとりきり」にする瞬間が
未だに慣れない
少し寂しそうに、諦めたかのように
僕を見つめる
僕は出来る限りの笑顔で
また明日来るからねと伝えるが
手が離れる瞬間
本当に「明日」があるのか…不安になる
永遠の「はなればなれ」は
いつか訪れる
僕は耐えられるかな?
【僕の小さな現実の物語】
「また会いましょう」
「またね」って凄い言葉なんだよ
また会える事を相手に伝えられる凄い言葉
日に日に弱る彼女
そんな彼女に「また明日ね」って伝える僕
人の命は当たり前だけど「永遠」じゃない
もしかしたら彼女は…
明日居ないかもしれない
…それが医者の見立て
それでも僕は彼女に「またね、明日来るね」
って伝え優しく撫でて部屋を出る
明日も会えたらいいな
僕はこういった投稿しかしていないけど
これは全て本当の話
小さな現実の物語なんだ
読んでくれてありがとう
「脳裏」
今でも強く脳裏に焼き付いている記憶
彼女が死のうとした時…
物音で目覚めた僕はすぐその部屋に行った
彼女は無事だった
その安堵と後から襲ってくる恐怖で
初めて彼女の頬をたたいた
やめて欲しかったからだ
彼女の辛さや苦悩には向き合いもせず
気付いたら頬をたたいてた
悪いのは彼女じゃない
向き合おうとしなかった僕だ
たらればになるが
あの時、本当に危険を察知して
彼女に寄り添っていれば…
今の状況は少しは違ったのかな?
でも、もう遅い
彼女の命の期限はすぐそこだから
「意味がないこと」
彼女に届かない
この不安
心配
形にできないなら
行動に移せないなら
伝わらない想いなら
意味がない