それこそ若い時には好奇心の塊で、やらずに後悔するならやって後悔したほうがいいという精神の持ち主で、スリルは大好物だった。
それが年や経験を重ねると、衝動的な好奇心満たしも、取り返しのつかない失敗も何度かして、今は安寧に勝るものは無い、という境地に至った。
ひとって変わるんですよ。
〜スリル〜
「I can´t without you 飛べないことにしているだけよ」
〜飛べない翼〜
まだ父のことを純粋に大好きだった子供の頃の話。
十五夜で、原っぱからススキを取ってきて花瓶に活けていた。
お月見なのに雲で月が出ず、がっかりした私たちのため、父が折り紙で黄色くてまんまるなお月さまを作り、ススキに貼り付けてくれた。
娘たちに優しくて茶目っ気があり、アイデアマンな父。
今でもススキを見掛けると100%の確率で、あの折り紙お月さまを思い出す。
そんな父だから、女性の心をとらえることも頻繁で。
後に母と私たちは苦しむことになるのですが。
「まんまるは平和の象徴
幸せなこともあったと証してくれる」
〜ススキ〜
まさにこれだ。
あと何年経ったら思い出すこともなくなるんだろう。
5年後? いや、そんなもんじゃない。
10年後? もしかしたら。
20年後? 思い出せなくなってるかも。
30年後? 無意識に口走ってるかも。
その時は、ごめんなさい。
「甘い甘い思い出だけに支配され
惚けた世界は幸せなのか」
〜脳裏〜
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私の頭の中には貴方がいる
どこにも行かせやしない
時々取り出して舐めて砕いてまた戻す
味がしなくなるまで形がなくなるまで
「君の名を検索窓に打ち込んで
安否確認習慣になる」
別れて5年以上経ったというのに、今でも事あるごとに想ってしまう。
諸事情があってもう触れることは出来ないけれど、元気だろうかと気にしてしまう。
氏名を入力すれば何らかの記事がヒットする。
時には顔写真も出てきて、懐かしいような見てはいけないような複雑な気持ちになる。
いつまでこんなことをやっているんだろう。
恋しい気持ちだけは早く消したい。
〜意味がないこと〜