#68「君の声がする」
桜吹雪が芽吹く前の
あの静けさがやってくる
闘志は粛々と燃えていた
いつしか閉じこもった私の
最後の扉を開けるため
あの 向こう側へ
わたしの 灯火は無駄ではなかったこと
白く輝いた星が 呼んでいた
#67「君の背中」
夜明けの空に 希望の星が浮かんでいる
吉とでるのか 凶とでるのか
占い師なんて知らない
なんてったって今日は 晴れなのだから
きみの努力は 計り知れない
それは 今日でもっと輝くのだ
それこそ 100万星を集めたって
きみの素晴らしさには 足りないのだから
こころ駆け出したきみへ
どうかコケないように ケガしないように
寒ければ あなたの灯火は燃えるでしょう
朝日で 刃は輝いていることでしょう
希望の星は いつでも浮かんでいる
並んだその姿 きみだけはいつも光っている
願わくば きみの笑顔よ瞬け
きみの努力よ 白く瞬け
#66「誰も知らない秘密」
わたしは黙っていろ
その嫉妬に意味もなく悶えていろ
いつかその炎が あの子のような
優しさに変わるまで
わたしの嫉妬が きみの道を塞いでいたら?
きみの嫉妬に 追い討ちをかけていたら?
わたしはどうしたって後悔をする
きみの行く手を阻むものが わたしであるなんて
あってはならないことだから
でもきみは強いことを 忘れていなどない
きみに向かう誰かの嫉妬は 業火のように燃えた
鍛冶屋が磨いた刀のように 努力は鋭く光っていた
どうかその刀が輝くような朝日が
戦いの日に訪れますように
その願いは 誰にも知られぬ小さな灯火となった
#65「静かな夜明け」
冬の静けさは 川の水のよう
さらさらさらり 月がぼんやり浮かんでいる
あの船は 大陽に何を運んできたのだろう
無機質なトラックが
暖かな車内にラジオが
ゴミを散らすカラスたちが
飛び立つ真っ白なセキレイが
蛍光色のスポーツウェアが
傍らに咲くハルジオンが
透明な川をこっそりと 色づけてゆく
まるでこどもが 寝付くまえ
はやくはやくと 冒険の始まりをせがむように
星たちに太陽が お布団かけて
静寂は 不思議とわくわくをもたらした
さあ 冒険にいってきまーす
#64「星のかけら」
海辺で拾ったシーガラス
鈍い輝きを放つそれは ただのガラス瓶
けれど 大人になっても惹かれる
幼いときに信じてた
あれは星のなれの果て
彗星が 花火のように散り
海に浮かぶ月が 旅へと導き
わたしを見つけてくれたのだと
きみは、どこからきたんだい?