#42「街の明かり」
都会でもなく、田舎でもないため
この道は、街灯がすこし遠感覚にある。
歩かなければ、1寸先は闇の中
歩けば、暖色の明かりが包み込んでくれる
まるで、僕のこころの中
歩かなければ、と使命感
疲れて足を止めれば、1寸先は闇の中
歩けば、理不尽なことは多いけれど
小さな達成感と幸せが、包み込んでくれる
歩こう
たとえ、歩いた先の街頭が消えかかっていても
きっと明日が待っている
#41「好きな本」
ちいさな ちいさな昼休み
きみが隣で笑って きみと感想を話し合って
「すき、この本いいね」って
本当に うれしそうに微笑むから
だから わたしもすき
#40「岐路」
ヒラヒラ、桜が散っていた
うぐいす達が、木の枝に止まっていた
まるで花のつぼみのように
しかし、木の根元に一羽だけ
動かずじっと座っていて
それが記憶の片隅に、パズルみたいに
すぽっとハマった
あの頃の僕はとっくに諦めていたんだ
いや、”逃げていたんだ”
”15歳”という名の束縛から抜け出したくて
僕は必死に、根元にしがみついた
いつか根元が、枝分かれして運んでくれるだろうと
けれど、ダメだったんだ
それを理解するには、幼すぎたのかもしれないな
うぐいす達は、春の訪れを高らかに歌っていた
僕と一羽だけを残して
それでも桜は、ヒラヒラと散っていた
#39「明日世界が終わるなら」
え、終わるの?
うん、終わるらしい
そうやって言い合える人が最後にいたらな
愛よりお金っていう人がいるけれど、
世界が終わる時、お金なんて価値がなくなるんだ
わかっていたのなら、君の手をとったのに
明日世界が終わるなら
願わくば、もう一度あの観覧車で
愛を
#38「風に乗って」
たった数秒で通り過ぎた綿毛など
きっと誰の記憶にも残らない
けれど、私はもしかすれば
誰かの故郷の綿毛かもしれない
その誰かは寂しさを抱えているかもしれない
嗚呼 まだとべる
まだ あなたの所へゆくまで
あなたの心に 花を咲かせるまで
だからきっと、覚えていて