#40「岐路」
ヒラヒラ、桜が散っていた
うぐいす達が、木の枝に止まっていた
まるで花のつぼみのように
しかし、木の根元に一羽だけ
動かずじっと座っていて
それが記憶の片隅に、パズルみたいに
すぽっとハマった
あの頃の僕はとっくに諦めていたんだ
いや、”逃げていたんだ”
”15歳”という名の束縛から抜け出したくて
僕は必死に、根元にしがみついた
いつか根元が、枝分かれして運んでくれるだろうと
けれど、ダメだったんだ
それを理解するには、幼すぎたのかもしれないな
うぐいす達は、春の訪れを高らかに歌っていた
僕と一羽だけを残して
それでも桜は、ヒラヒラと散っていた
6/9/2024, 10:01:55 AM