もうすぐ「お兄ちゃん」になるんだもん。
だから、これくらいガマンできるよ!
よく擦り傷を作っては涙をこぼしていた我が子が、突然そんなことを言って笑った。
崩れた笑顔からも、痛みをこらえているのが一目でわかる。
こんなに大きくなっていたんだね。
カッコイイ姿、先に見ちゃったな。
【泣かないよ】
もしも最後の一歩を踏みとどまってしまっても、それは決して悪くないよ。
ギリギリまで考えて慎重になれるのは、あなたの長所でもあるんだから。
俯く私の背を撫で、そっと優しい声で励ましてくれた彼女には、伝えられ無かった。
安請け合いしたくないからじゃない。
勝てなかった、だけなの。
【怖がり】
何も踏まないと手で探って、天辺を見上げたまま、ごろりと寝転んだ。
有名どころの輝き、その中には自分でも名前を答えられる数少ない並び方がある。
小学生の時に選んだ自由研究も、こうして観ると、あながち無駄なコトじゃなかったらしい。
繋がってるんだなぁ、と嬉しさが込み上げた。
【星が溢れる】
……驚いた。
照れくさそうに笑って、ほっとした顔が、見上げるそこにあるではないか。
まさか「先月の『お返し』を一人一人に手渡しして回っているらしい」なんて噂話が、事実だったとは。
ちょっと人が出来すぎな気もするが、彼の日々の誠実さはウソじゃなかったようだ。
これは流石の人たらしスキル。
でも、こういう飾らないところが、多分いろんな人に“刺さる”んだろうね。
きちんと「感謝のカタチ」としては返ってくると分かったのなら、また来年も、とか張り切って作っちゃうんじゃないかな?
なんていうか、完敗かもしれない。
いつの間にか面倒事に引っかからないよう気をつけて欲しいとか、勝手ながらも思っちゃうよなぁ。
【安らかな瞳】
本当に、おめでとう。
あれ届いてる? じゃあ良かった。
それと、実は言ったこと無かったけどね?
多分「お母さん」も、こういう風に優しい人だったのかなあって、勝手に思ってたんだ。
まぁその、自分の場合、写真で見た感じでしか分かんないんだけど……
ああもう、この話は後で聞かせるから!
もうちょっと黙って聞いててよ、こっちも結構恥ずかしいんだって!
……うん。──だからね、姉さん。
今までもたくさん頑張ってくれたからこそ、今度は貴方が、しっかり“あの人”と幸せになって欲しいんだよ。
こうやって、影ながら応援してきたんだからさ!
【ずっと隣で】