いつも一緒に居る彼等に囲まれて雑談してる君
その仕草や表情、一つひとつが私の目に映る度
一目散に、衝動的に、私の中の全ての気持ちを
届けたくなってしまう。
ですが、貴方にそれを「送ろう」とすると
どうしても力んでしまうんです。
会話ですら、まともな形にするだけで精一杯。
綺麗に梱包された箱も、荷台から下ろした時には
既に凹みまくりの状態になっちゃいます。
貴方を好きになったあの日から
見るに耐えない程に不格好で、不器用な
大きいお荷物を預かっております。
また、追加でお荷物が
日に日に増えている状態ですので、
早急に受け取って頂くよう
お願い申し上げます。
お届け時に、箱が変形している場合が
ございますが、中身に影響は及ぼしませんので
何卒、ご理解頂けますようお願い致します。
中身は全て「愛」となっておりますので、
お取り扱いには十分注意して下さい。
本当は、置き配にしてしまいたいのですが
受け取りのサインが必要なんです。
私からの、このデコボコになった沢山の愛を
貴方は拒まずに受け取って頂けますか?
伝えたい
もし貴方から、色鮮やかな花束を貰えたら
私はどんな反応をするんだろう
綺麗?良い香り?嬉しい?
きっとその時の気分と、並んだお花で
感想が変わるかもしれない
でも、今の私には
貴方程、目を引くくらい綺麗で
ふわっと漂う素敵な香りがして
会えた時に嬉しくなっちゃう人なんて
この世にはいません
私が欲しいのは、
その辺で買える花の集まりじゃないんです
愛がしっかり開花して
貴方の色に染まった、1輪の花が好きなんです
花束
いつも浮かべる憎たらしい程の愛しい微笑み
ふとした瞬間の愛らしくて無邪気な笑い
胸が高鳴る心の底からの笑顔
貴方の笑みは、どうしてこんなに多彩なのですか
どこまで私を惹き付けるんですか
柔らかい表情で、口角を上げるだけのその動作
たったそれだけで、今日も私は
愛される顔を取り繕う間もなく
貴方に恋焦がれる
スマイル
12時を指す時計を見てから涙が止まらない
いつかは離れてしまうんじゃないかと、
貴方からの愛が尽きてしまうんじゃないかと、
1秒前まで、純粋に貴方のことを愛してたのに
確証のない不安が、部屋にただ1人の私を
突然襲った
「ガラスの靴で時を繋ぐような
清らかで美しいお姫様にはなりたくない」
夜の寒さで冷えきった足には
もっと別の、ヒールの高い靴が
より似合うことを知ってる
日付が変わった瞬間の、今の彼女は
ふんわりとした儚げのドレスは
どうやら気分じゃないみたい
「時計の針が上を指した時に、魔法が解ける?」
悲しさが溢れるのは、
ボロボロの身なりになった一瞬だけ
それが終われば、また貴方を愛することは出来る
「それは魔法が解けたんじゃなくて、
ベロベロに酔ってた恋から少し醒めただけ」
温かい愛も良いけれど、心酔した恋も悪くない
一抹の不安なんて、全て吐き出して強くなってく
「女の魔法に期限はないの。誰かを愛する時は
ちょっとした不思議な力と、心にほんの少しの
アルコールを垂らすだけで楽しくも切なくも
なるのよ」
時には盲目になるくらい浴びるのも
素敵なものだけどねと
そんなことを語った彼女は、
確かに「灰かぶり」という名前は付けられない
酔いから醒めた私は、また心から貴方を愛する
そんな私が
今この瞬間、1番輝いてる
時計の針