いろがたくさん
きれいだなぁ
たくさんたくさん
いろとりどりだなぁ
【君と一緒に】
もしも明日世界が終わるなら、
君とどこへ行こうか?
セルリアンブルーに輝く海?
光差す綺麗な森?
満月の輝く夜の道もいーなあ!
もしもの話だけどね?
君は、もし明日世界が終わるなら、
どこに行きたい?
さっきから一人で笑って喋っていた貴方が、
私に問いかけてきた。
私?私はね…そうだなぁ…
例えば、
普通の森の中にある濁った湖とか、
少し薄汚れて錆びた遊具のある公園とか、
普段の月の光が差す部屋の中、とか?
貴方は話を聞いているかも分からない、
上の空のままだった。
私は、貴方と一緒に居たあの場所に、
また行きたいな。
また…生きたいな。
無言のまま貴方は、私の前に花を置いた。
ふわっと花の香りがする、菊の花束。
私は、貴方と同じように手を合わせて目を閉じた。
雲一つない青い空、ギラギラと差す橙色の太陽、
暑さを感じながら、私は目を開けた。
気がつけば貴方は、泣いていた。
何で泣いてるの?
不安になって聞いてみた。
でも貴方は、俯いて涙を流していた。
その涙は地面に落ちて、また乾いての繰り返しだった。
もしも明日世界が終わるなら、
その答えは、別にあるんでしょ?
貴方が、私に問うてきた。
…うん。
もしも明日、世界が終わるなら、
君を迎えに行く。
最後くらい、一緒に居ようね。
貴方は反応も無しに顔を上げた。
また来るね!
そう言って貴方は、
墓地を去った。
数週間ぶりの晴れがやってきた。
少し雲がかっている、何とも言えない晴れ。
外はまだ雪が積もっていて、まだ溶けきっていない。
メッセージには彼からの新着が一件。
「久しぶりに会わない?」
久しぶりにって言うけれど、彼の会うはきっと、
最後にする"会う"だと思う。
彼が浮気していることは、薄々気付いていたのが
確信に変わっていた時期だった。
スマホと財布、彼の他の浮気の写真も持って、
「じゃあ、いつものカフェで。」
メッセージにそう入れて、私は家を出た。
【幸せとは】
人によって違う形をした物。
何が幸せかなんて、決まってない。
"貴方らしい形の幸せ"が必ずあるはず。
だから、心配せずに生きていけばいい。
必ず貴方は、幸せに遭遇しているはずだから。
"幸せが無い"なんて、そんなこと絶対に無い。
振り返ってみれば、必ず幸せが見つかる。
幸せとは、どこかに必ず転がっている物。
寒いねって、クスリと笑う君。
1月1日早朝5時、朝日を待つ。
君が見たいと言った初日の出、
隣に居る君は、手を自分の息で温めている。
登る初日の出はとても綺麗だった。
でも少し、君は寂しい表情をしていた。
「…彼と、見たかったなぁ…。」