【君と一緒に】
もしも明日世界が終わるなら、
君とどこへ行こうか?
セルリアンブルーに輝く海?
光差す綺麗な森?
満月の輝く夜の道もいーなあ!
もしもの話だけどね?
君は、もし明日世界が終わるなら、
どこに行きたい?
さっきから一人で笑って喋っていた貴方が、
私に問いかけてきた。
私?私はね…そうだなぁ…
例えば、
普通の森の中にある濁った湖とか、
少し薄汚れて錆びた遊具のある公園とか、
普段の月の光が差す部屋の中、とか?
貴方は話を聞いているかも分からない、
上の空のままだった。
私は、貴方と一緒に居たあの場所に、
また行きたいな。
また…生きたいな。
無言のまま貴方は、私の前に花を置いた。
ふわっと花の香りがする、菊の花束。
私は、貴方と同じように手を合わせて目を閉じた。
雲一つない青い空、ギラギラと差す橙色の太陽、
暑さを感じながら、私は目を開けた。
気がつけば貴方は、泣いていた。
何で泣いてるの?
不安になって聞いてみた。
でも貴方は、俯いて涙を流していた。
その涙は地面に落ちて、また乾いての繰り返しだった。
もしも明日世界が終わるなら、
その答えは、別にあるんでしょ?
貴方が、私に問うてきた。
…うん。
もしも明日、世界が終わるなら、
君を迎えに行く。
最後くらい、一緒に居ようね。
貴方は反応も無しに顔を上げた。
また来るね!
そう言って貴方は、
墓地を去った。
1/6/2023, 10:22:25 AM