「あっ!やばっ!忘れた…」
朝教室に入ってみんながチョコレートを渡し合っているのを見て気付いた。
今日はバレンタインデーだ。
今日がバレンタインデーだということは知っていた。
そして、つい昨日チョコマフィンも沢山作った。
よし、明日渡そう。と決めていた。
「(家に置いてきてしまった…)」
冷蔵庫に入れっぱなしだった。
というのも、今日は渡したい男子がいた。
本命ではない。
いや、正確に言うと、本命候補。
というか、本命なんだけど直接は言えないからチョコレートで伝わればいいな…みたいな…
とにかく、お目当ての子がいる。
でもどうしよう。渡せないじゃん。
そんなこんなで授業が終わり、帰りの支度の時間になった。
仲のいい友達に渡せないのはいい。
いつでも渡せるし、毎日「ダイスキ♡」って言い合ってるからまだいい。
でも、彼には今日渡したかった。
彼は部活はやっておらず、帰宅部らしい。
このまま行けば、あの子は家に帰ってしまう。
どうする。どうする。さぁ、どうする私。
一応クラスメイトだから声をかけるのは抵抗ない。
「ねぇねぇ…あの…、なんかさ…今日はもう帰る感じ…?」
「うん、そうだよ。」
「あ…そうなんだ…そうだよね…」
「もしよかったらさ…もうちょっと学校に居れたりしない?」
「学校に…?うーん…まぁちょっとならいいけど。」
「私、家、すぐそこなんだけど、〇〇君にどうしても渡したいものかあって、今ダッシュで取ってくるから、
ここで待ってて! 」
「…」
題:「待ってて」
「今年の抱負」かぁ。
真面目に考えてみよう。
何個か候補はあるんだけど、どれも結局実行できずに終わる気がする…
だって毎年そうだもん。
そうだなぁ、
文章を沢山書く、とかかなぁ。
題:今年の抱負
新しい年になったことで、久しぶりに話してみようと思える人がいる。
「新年」を機に思い出す誰かがいる。
そして、改めて大切な人の温もりを感じることができる。
そんな1日だ。
:新年
「みかん」
家に帰るといつもリビングの端にはみかんが置いてある
カゴに入れられながら、地味な食卓にとっての彩りの役目を果たしている
べつに私は食べるわけではないが、無いとすぐに無いことに気づく
この時期、みかんは単に食べ物としてだけではなく、風物詩としてそこに居ることに意味があるように思う
それは、隣に置かれている花瓶より儚く。
「泣かないで」
すんごく嬉しいときには、思いっきり泣いて喜んでいいんだよ。
とてつもなく悲しいときには、思いっきり声をあげて泣いていいんだよ。
めちゃくちゃ悔しいときには、人前で思いっきり泣いていいんだよ。
とっても痛いときには、痛いって言って思いっきり泣いていいんだよ。
そんな時、私は絶対「泣かないで」なんて言わないから。