ライム酒の瓶が開かなくて格闘すること30分
出した結論は開けずに熟成させる暴挙であった。
ラベルもベロベロに剥がれてMの棒が1本かすれてLINE
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と書かれたメモは寝落ち前の私が確かに書いたものだ。
そのまま闇に葬ろうかとも考えたが
戒めを込めて、あえて晒そうと思う。
さすがにこれはひどい...
毎号ついてくるパーツを組み立てることで自立思考型アンドロイドを作ろう!
という触れ込みの雑誌をご主人が買い続けてくれたおかげで僕はここにいる。
ただ、あまりに膨大なパーツを細分化して販売されていた結果、ご主人は3855号を購入したあたりで遂に破産してしまった。
AIとして必要なパーツは最初の1000号ほどで完成したのだが、
左腕は無く、左脚もパーツが一向に増えないので、木の棒で継ぎ足されている。
衣服で誤魔化されているが外装もほとんど無い。
頭部に至っては創刊号のバインダーを髪の毛のように被せてある有り様だ。
この世界のどこかに、最終巻のパーツまで組み込まれた完全な僕は存在するのだろうか?
差し押さえられた不完全な僕には皆目見当もつかない。
怒らずに聞いてください
いいですか?
ファブリーズは香水ではありません
消臭剤です
リセッシュもです
だからそれを手首に付けるのはやめましょうね
「今日、〇〇地区にある店舗に、本社の偉い人が抜き打ち訪問して監査を仕掛けてるみたいだから、不用品の片付け等々急いでやっておいてね。顔写真と名前も添付してあるから粗相無いように」
という身内リークが届いて、せっせとお出迎え準備をする。
現場に出ていない偉い人が、怪獣のように効率を踏み荒らす前に急いで粗を徹底的に隠蔽。
突然の訪問を仕掛けてきた頃には、全員顔も名前も役職もバッチリ頭に入っている。謎の緊張感を漂わせながら。
そして後日近隣で怪獣に粗相をした数名が「吹き飛んだ」という噂を耳にして、明日は我が身と恐怖するのだった。
君は本当に怪獣だね。
もしも よく足を運ぶ店が、その日に限ってぎこちなくテキパキした動きを見せていたら、妙に細かい掃除を大人数で繰り返していたら、もしかしたら怪獣が突然の訪問を仕掛けて来るのを
待ち構えているのかもしれない。
強い雨が降る夕方の山道を車で走り抜ける
途中、両脇の電線におびただしい数のカラスが羽を休めていた
鳴くわけでもなく、等間隔に並んでじっと雨を浴びている
もしかして 帰宅してまずはシャワーを浴びるみたいな感覚なのだろうか?
雨に佇むカラスたち
明日はどこへ向かうのだろう。