【隠された手紙】
私は、もうすぐ上京する。
今日は家の整理をしに、久しぶりに家に来た。
少しギシギシとなる階段を上がり
懐かしいドアノブに手をかける。
あとは、昔使っていた机を処分するだけ。
「……!………」
机の引き出しを引くと古い手紙が入っていた。
それは、
【未来のワタシへ】
だった。
【バイバイ】
「学校いってきまーす! バイバイ!」
「今日ちょっと遅くなる。いってきまーすバイバイ!」
「いってきまーす!バイバイ!」
私の娘は必ず最後に「バイバイ」を
つける子だった。
なのに………
「もう、こっちには帰らないから。じゃぁね。」
嗚呼
もう、バイバイじゃぁなくて
じゃぁね。なんだ。
【旅の途中】
旅の中なのにベランダに立った。
すごい高いところで立っているだけで
手が足が震えが止まらない。
だめだ。
だめだ。
そうだ。
私は、まだ旅の途中だ。
【神野 花】 十三歳
【まだ知らない君】
まだ、君は知らない。
君はもう死んでいるということ。
人生のどん底に立たされ、今、落ちそうだということを
君は、まだ知らない。
さぁ、君たちはこういうとき
「どうする?」
【日陰】
君はとてつもなく眩しい。
いつも、存在感があって
皆と仲良しで
いつも明るくて
いつも、日向を歩いてる。
私は、いつも日陰を歩いてる。
存在感がなくて、運動もろくにできない。
全然可愛くなくて誰にも好かれない。
「私たちってほんとに血、繋がってるのかな。」