【凍える指先】
私は難病を患った。
病状が悪化すると、からだ全身の
感覚がなくなってしまうらしい。
冬は、怖くて、外に出られなかった。
ある日、ものを取ろうと指先を伸ばしたとき
触っているのに、感覚がなかった。
ああ、今日は寒いからかな。
【消えない灯り】
私の部屋は、明るいものが一切ない。
カーテンはいつも閉めているし、
電気なんて、そもそもつけない。
外から音がする。
カーテンの隙間から覗いてみると、
いつも手紙を届けていくれている、
朝日ちゃんが、無理やり家に入ろうとしていた。
それを、お母さんが止めているのが見えた。
まもなくして朝日ちゃんの姿がなくなると
階段を登るドタドタという音が聞こえ、
次を瞬間、扉が開いた。
そこには、まぶしい笑顔の朝日ちゃんが立っていた。
【冬の足音】
私は、高校時代、好きだった人がいた。
顔もイケメンで、頭も良くて、運動もできて
まさに、アニメの世界のひとだった。
社会人になった今、恋愛はあまりしなくなった。
ただ出勤して、顔面と向き合う日々。
ある日、いつもの電車に乗ろうと、
すると、横からいい匂いがした。
私の好きだった人の匂いに似ていた。
横を見ると、そこには彼がいた。
すると、彼がこっちを見た。
「おっ、久しいじゃん。」
とっさに返事ができなかったのでニコッ
笑顔を返事をした。
その隣には、私が見たくない人がいた。
女の子……………彼女かな…
そして彼はいってしまった。
彼の足音が、どんどんと遠ざかる。
【贈り物の中身】
私は過去、少年院に行っていた。
入ることになった理由は、殺人。
友達を守るために、いじめっ子を殺した。
いろんな部位を刻んで。
今日は、私の誕生日。
郵便には、一つのプレゼントが入っていた。
「…重いな。」
その異様な重さに、すぐにプレゼントを開けた。
そこには、きれいに冷凍保存された友達の
部位が、入っていた。
かつて私が切り刻んだやり方と同じように。
【君と紡ぐ物語】
この世界では赤い糸が伸びれば伸びるほど
年を取り、いろんな経験をしたという
証になる。
そして、私は今日、
失恋した。
布団の中で泣きじゃくっていると
また、赤い糸が伸びたような感じがした。