宝物
宝物…。家族。
社会人になったと共に、一人暮らしもスタートした。
学校もバイトも近かった私が、家から離れるのは初めてだった。
帰る度に静かな家。学生の頃は一人暮らしに憧れてたけど
いざ1人になると孤独で、寂しかった。
責任者でもない私は、休みを見つけては実家に帰るようにしていた。でも4月からスタートし、実家に帰れたのは6月の時。
久しぶりに見た、母や父の「おかえり」という言葉に涙が出た。
冷たく生きた心地がしない一人暮らしの家とは全く違う
温かくて優しい家。
私の宝物は家族。どんな自分も受け止めてくれて、誰よりも愛を感じる家族。時に喧嘩することがあっても手放すことができない家族。
私も将来、こんな家庭を作りたい
高く 高く
目標は高く。それに向かって努力しろ。そう教わった。
目標には、無数の壁があって、それを乗り越えてこそ目標にたどり着く。
高く 高く。何度も挫折しながらも立ち向かって高く飛びたつ
もっと、もっと 誰にも越えられないように。もっと…。
自分が先頭に立って、みんなを引っ張っていく。
上司にも認められ、評価され 私は慕われてる。尊敬されてる。必要とされてる。
負けたくない。あの人に。あの人を超えたい。
そう思って、どんなにしんどくても頑張ってた。
頑張ってたのに…。同じ土俵に立ってきて、今は
私よりも認められ、尊敬されてる。
なぜ…。私はどんなことにも我慢して、乗り越えてきた。
頑張ってる自分が凄い。偉いんだって。
なのに…。あの人は汗も涙も流さずにエスカレーターのように私の目標にたどり着く。
結局、才能が勝つんだ。目標に向かって汗水垂らして
努力しても 数字が全て。結果が全て。
我に返った時、私の努力は全て水に流されていた。
子供のように
沢山わがままを言った。沢山怒った。沢山泣いた。
沢山笑った。子供のように喚いて叫んで笑って楽しんで。
子供の時は、早く大人になりたい。そう思ってた。
でも今は、子供のように泣きたい時も叫びたい時も
笑いたい時もある。
けどもう大人だからって。我慢する。
あー。もっと子供の時 子供らしく何でも言える子だったら良かったのにな。
声が聞こえる
眠っていると、私を呼ぶ声が聞こえる
お願い。辞めないでって。
転職を決めたあの日から、半年。そして退職まで半年。
私は何も悔いがない。そう思ってたけど
また来年も一緒に働きたいですって言われて
固まっていた気持ちが揺れた。
彼女のまっすぐな目線に私は逸らすことしか出来なかった。
そうなるといいね。嘘ついてごめん。
その日の夢は、彼女に退職を打ちあけるところ
泣きじゃくる彼女を私は黙って抱きしめることしか出来なかった。
嫌です。私はまだ1人前じゃありません。泣きながら訴える彼女。
お願いします…辞めないで!!!
その瞬間朝の日差しで目を覚める。
声がまだ私の耳で響いていた。
命が燃え尽きるまで
命が燃え尽きるまでお前を守るから。
ドラマではよくあるセルフ。
でも実際、そんな風に思って生きてる人間なんているのだろうか。
命が燃え尽きる? 想像つかない。
戦国時代かなんか?って笑うんだろうな。
でも、もし子供が出来たら私は子供を命を掛けて
守り続けると思う。
大事なものを昔の人は命が燃え尽きるまで守り続けようとしてくれたんだろうか。