一目見た時、神様がこの世に現れたんだと
僕は本気でそう思ったんだ。
"やっと見つけた"
たまたま通りかかった橋の下。
聴こえた悲鳴に顔を上げた。
眩しく輝く太陽を背に
神様は再び僕の目の前に現れてくれた。
"何、邪魔してんだよッ!!"
舞い降りてきた神様は
酷く苦しそうな表情で
僕にこう言ったんだ。
『神様が舞い降りてきて、こう言った。』
触れたら壊れそうで
吹いたら散ってしまう
弱くて 儚い花
僕は君の事をそう思っていた
繊細なその花を扱うなんて
とてもじゃないが出来ない
いや
僕には出来なかった
...しようとしなかった、が正解かもしれない
だから手に入らなかった
だから盗られた
繊細な君を
高嶺の花の君を
幸せにする役目は
...僕じゃなかったんだ
今にも壊れそうなこの心を
繋いでしまっておかなくちゃ...
『繊細な花』
好きな色って沢山あるけど
何でかな
君が好きな色ばかり集めてしまうのは
『好きな色』
「あのね、ちょっと、その、変な事言っても良い?」
「突然なに?どーしたの」
「いやぁ、ほら、僕って昔は引っ込み思案でいつも俯いてて、凄い暗かったじゃん?」
「まぁ、確かに昔はあんまり他人と関わりたくありませんって感じだったな」
「そうそう!でも今は違うでしょ?」
「友達は増えたかな」
「増えた増えた!でね、それで、お礼を言いたくてさ」
「お礼?何の?」
「僕と関わる事を諦めないでくれてさ、僕に沢山楽しい事を教えてくれて、本当にありがとね!」
「え、なに急に?どーした?変なモノでも食べた?」
「ねぇ!失礼じゃない!?凄い勇気出したのに!」
「うそうそ。そんなの、俺が傍に居たかっただけなんだから、お礼言われる事じゃないよ」
「それこそ、僕がお礼言いたかっただけなんだから、素直に受け取ってよ!」
「はいはい。あ、それとさ」
「ん?何?」
「俺の方こそ、あなたがいたから俺でいられるんですよ」
「なっ、なに急に!改まってどーしたの!?」
「感謝してるって事。あと、お返し。言われる側の気持ち、分かった?」
「ぅ、なんか恥ずかしいね」
「そーゆー事。でも嬉しかったよ。どういたしまして」
「僕も、嬉しい、です。えっと、どういたしまして?」
「じゃあ、これからも傍に居るから、よろしく」
「うん!僕も!よろしくね!」
『あなたがいたから』
僕は何故か屋上に居て
僕は何故か追い詰められている
そして僕は躊躇う事なく
その屋上から飛び降りた
ふわっと体が宙に舞い
キュッと心臓が縮む感覚
落下し始めたのだと認識した時
ーガタッー
僕は教室で目を覚ました
『落下』