【飛べない翼】
手は、ものを掴むために必要だろう。
足は、地を蹴るために必要だろう。
翼は、飛ぶために必要だろう。
では、飛べない翼は?
必要がない、と言ってしまえばそれまでで。
使えない、と言われてしまえばそれだけだ。
ただ、きれいだ、と。美しい、と。
そう言って笑ってくれるひとが、一人でも居てくれたなら。
どこへだって飛んで行けてしまうのだ。
【脳裏】
ふとしたとき、脳裏によぎるのは誰の声だったろうか。
お腹が空いたとき、眠たいとき、きれいなものを見たとき、疲れたとき、楽しいとき、失敗したとき。
色々な瞬間の中で誰の声を聞いただろうか。
家族、友人、先生、好きな人、嫌いな人。
どんな人であろうと、その声が聞こえたら自分の選択が正しいか考えるかもしれない。
そこで立ち止まることができたら、もう声は聞こえなくなっているかもしれない。
たった一瞬しか現れないくせに、それだけで思考を奪ってしまうのだから、ほんとうに大したひとだ。
【意味がないこと】
どれだけ考えても、悩んでも、実行しなければ何もしないことと同等に見えてしまう。
傍から見れば意味のないことかもしれない。
だが、それは自分の経験となり、武器となる。
意味のないように見えることに、意味を見出せばいいだけだ。
【鏡の中の自分】
鏡にうつったそれは、ひどく疲れた顔をしていた。
ひどい顔だなと呆れて出た表情も、どこか引きつっていた。
こんな面を人様にむけてどうしたいんだ、と問いかけてみる。
だが、帰ってくるのは己から出た嘲笑だけだ。
だって、そうだろう?
鏡の中にうっているそれは、自分自身なのだから。
【眠りにつく前に】
眠りにつく前に何をしようか、なんて考えられるときは心が穏やかだと気づく。
夜空を眺めたり、本を読んだり、普段見ないような映画を見てみたり。いつもより早く寝てみようかな、なんて思うかもしれない。
そのどれもが、自分自身を優しく労って、幸せになってほしいと行動に出ている瞬間なのかもしれない。