ふたり

心の中の風景は

ここにある

ここにある。
小さな大きな忘れ物。
いつかに忘れた宝物。
子供の時のお気に入り、学生時代の第二ボタン。
好きな人との甘酸っぱい記憶。
友達との花火のように弾ける記憶。
オレンジジュースを背景に自転車を押したあの日。
ラムネ瓶に閉じ込めたように静かな教室。
開ければそこには蝉の音。
絶対絶対ここにある。
それだけは変わらない。
変えたくない。
あのひとときは忘れてはいけない。
ここに確かにあったから。

素足のままで

砂を踏みしめる音がする。
白に足が少し沈む。
熱で焼けるように熱い。
真夏の太陽炎天下。
波打ち際で逃避行。
暑さと一旦お別れね。
砂を踏みしめて進んでいく。
白に記憶の足跡を残して。
熱で焼ける宝石の地を歩く。
真夏の太陽炎天下。
波打ち際で逃避行。
足首が潮に浸かったの。
砂が少し浮いている。
白は青に溶けていく。
熱より冷たさが肌に染みる。
真夏の太陽炎天下。
波に攫われ逃避行。
さようならそしてまた来世。

見知らぬ街

車を走らせ30分
やっと見えた港街
私の新しいお家と
私の新しいお友達
ドキドキワクワクどうしよう
ちゃんと仲良くできるかな
車を戻して30分
まだ引き返せる田舎町
私の元いたお家と
私の大切なお友達
悲しいな悲しいな
車を止めて30分
やっと出てきたお母さん
袋片手に上機嫌
スキップしながらやってくる
中身は何かなプレゼント？
戻ってきたら聞いてみよう