遠雷
遠くの藍に光が差す。
遅れて音が轟くの。
ゴロゴロゴロゴロピシャーン
耳にも脳にも悪い音。
驚いちゃうじゃない。
でもそんなに悪くはないの。
たまに心地良ささえ覚えてしまう。
読書が捗る。
あの不自然な作業音が私を救う。
重い瞼を擦って間違えた問題を解き直す。
これには答えがあるのだから。
だけどもだけどもご用心。
本当に大切なものには答えなんてない。
これが世界の真理なの?
あ、眠いな。
ずっと溺れてしまう。
黒い意識に体を預ける。
ふわりふわり宙へと舞う様な気持ち良さ。
ずっとずっとこのままでいい。
目が覚めなければいい。
遠雷轟く冷たい世界。
ずっとずっとこのままなのかな。
私の理想とかけ離れてる。
あのおぞましい星へ縛り付けられてるの。
Midnight blue
黒に近い紺色が夕陽色から顔を覗かせる。
とうに子供はおうちへ帰る時間でしょ。
いつだって死にたくて仕方がない。
だから帰らないの。
この深夜二時の青さに溺れていたい。
ずっとずっと溺れていたい。
時が止まればいいのにね。
幸せの裏に潜む不幸だけが巡り巡って帰ってくる。
こちらだけに顔を覗かせる。
やぁ久しぶり。
やめてよ。
嫌だよ。
嫌だ。
嫌。
ずっとずっと会いたくない。
もう二度と顔を見せないで。
もう二度と。
未来永劫。
この青が濃く色づいてやがてまた光が差す。
そうなったら消えて頂戴。
あなたとだけは踊りたくない。
手中の中の惨めなマリオネットにはなりたくないの。
泣いても無駄でしょ分かってる。
だから仕方がないの。
今夜あなたのお人形。
好きにすればいいじゃない。
嫌いだよ。
ずっと。
君と飛び立つ。
天使のような純粋な君。
夕方光のベールを纏って微笑む君。
夜の街を嬉々として見渡す君。
いつか背中から翼でも生えそうなくらい綺麗な君。
いかないで。
置いていかないで。
いかないで。
もし叶うなら君と飛び立つよ。
でもまだ今はこの腐った星で暮らしていよう。
まだ今は。
まだ今は。
きっと忘れない。
多分、きっと。
死んでも忘れないよ。
ずっとずっと忘れない。
そんなの嘘だね。
忘れちゃうでしょ?
絶対そうだ、忘れちゃう。
だからいいの。
それがいいの。
それでいいの。
抱える傷すら愛おしい。
増えた痛みすら自分の一部。
癒えない傷も過去の作った証拠。
だからね、きっと忘れない。
なぜ泣くの?と聞かれたから。
それの答えが出なかった。
嬉しいはずだったのに涙が溢れて止まないから。
悲しいわけでも苦しいわけでも痛いわけでもないのにね。
ずっと、ずうっと一緒にいられるの。
その為にしたことなのに泣いちゃった。
適当に飲んで歩いて話して。
駅までの帰り道で駄々を捏ねて時間を稼いだの。
だってずうっと一緒にいたかったから。
終電を見送って帰れなくなったから明け方までの消耗戦に持ち込んで私だけを見ていてほしかったの。
そんな関係のくだらなくて誰にも話せないような青春だったけれども。
学校の参観日にすら親は他の子と私を較べて。
ちゃんと私を見てくれてない気がしたの。
だから明るさには期待しないようにした。
だってそうでもしないと気が狂いそうだったから。
私、いつだって死にたくて仕方がなかったの。
こんな見られない顔なんて大切にしたくなかった。
だけどあなたと出会って。
私は貴方と過ごす時間がこの上なく嬉しくて。
とても楽しくて忘れられなくなった。
だけどあなたが気付かないから。
そんなに喜んでいなかったから。
離れ離れになって埋められない穴が空いて。
私だけの一方通行みたいじゃない。
なんて、誰かの決めつけたバグでしょう?
だこら私は貴方の記憶として添い遂げるの。
大切なものは貴方しかいない。
だけど失っちゃった。
私も貴方と間違いを犯しちゃったの!
絶対に取り返しがつかないね。
だから穏やかな時も病める時も健やかなる時も。
私達の美麗で醜穢な思い出の中でずうっといっしょだよ。
貴方が優しい手つきで髪を乾かしてくれたから私、
もう全部どうでもよくなっちゃったの。
私、あなたのせいで壊れちゃったんだ。
左手薬指の外れなくなってしまった超合金で出来た仮初の愛みたいに。
何度も痛みとフラッシュバックするの。
私って貴方といた時が一番可愛かったなぁ。
本当に最低。
だから私が一生後悔として添い遂げてあげる!
大切なものって何?
私でしょ。
私だよね。
そうだよね。
そうだよね!
貴方だけ私の目を盗んで幸せになれるなんて思わないでよ。
私との楽しいトラウマから逃げられるわけないでしょう?
私と間違いを犯しちゃったんだよ?
もう戻れるわけがないじゃん。
他の誰かと恋をして誰かと眠っていても。
私とお揃いの悪夢の中で!
ずっと!
ずうっといっしょだよ。
最近ハマっているとある曲に雰囲気とか寄せてみました
本家様超リスペクトです( ˊᵕˋ ;)