君と飛び立つ。
天使のような純粋な君。
夕方光のベールを纏って微笑む君。
夜の街を嬉々として見渡す君。
いつか背中から翼でも生えそうなくらい綺麗な君。
いかないで。
置いていかないで。
いかないで。
もし叶うなら君と飛び立つよ。
でもまだ今はこの腐った星で暮らしていよう。
まだ今は。
まだ今は。
きっと忘れない。
多分、きっと。
死んでも忘れないよ。
ずっとずっと忘れない。
そんなの嘘だね。
忘れちゃうでしょ?
絶対そうだ、忘れちゃう。
だからいいの。
それがいいの。
それでいいの。
抱える傷すら愛おしい。
増えた痛みすら自分の一部。
癒えない傷も過去の作った証拠。
だからね、きっと忘れない。
なぜ泣くの?と聞かれたから。
それの答えが出なかった。
嬉しいはずだったのに涙が溢れて止まないから。
悲しいわけでも苦しいわけでも痛いわけでもないのにね。
ずっと、ずうっと一緒にいられるの。
その為にしたことなのに泣いちゃった。
適当に飲んで歩いて話して。
駅までの帰り道で駄々を捏ねて時間を稼いだの。
だってずうっと一緒にいたかったから。
終電を見送って帰れなくなったから明け方までの消耗戦に持ち込んで私だけを見ていてほしかったの。
そんな関係のくだらなくて誰にも話せないような青春だったけれども。
学校の参観日にすら親は他の子と私を較べて。
ちゃんと私を見てくれてない気がしたの。
だから明るさには期待しないようにした。
だってそうでもしないと気が狂いそうだったから。
私、いつだって死にたくて仕方がなかったの。
こんな見られない顔なんて大切にしたくなかった。
だけどあなたと出会って。
私は貴方と過ごす時間がこの上なく嬉しくて。
とても楽しくて忘れられなくなった。
だけどあなたが気付かないから。
そんなに喜んでいなかったから。
離れ離れになって埋められない穴が空いて。
私だけの一方通行みたいじゃない。
なんて、誰かの決めつけたバグでしょう?
だこら私は貴方の記憶として添い遂げるの。
大切なものは貴方しかいない。
だけど失っちゃった。
私も貴方と間違いを犯しちゃったの!
絶対に取り返しがつかないね。
だから穏やかな時も病める時も健やかなる時も。
私達の美麗で醜穢な思い出の中でずうっといっしょだよ。
貴方が優しい手つきで髪を乾かしてくれたから私、
もう全部どうでもよくなっちゃったの。
私、あなたのせいで壊れちゃったんだ。
左手薬指の外れなくなってしまった超合金で出来た仮初の愛みたいに。
何度も痛みとフラッシュバックするの。
私って貴方といた時が一番可愛かったなぁ。
本当に最低。
だから私が一生後悔として添い遂げてあげる!
大切なものって何?
私でしょ。
私だよね。
そうだよね。
そうだよね!
貴方だけ私の目を盗んで幸せになれるなんて思わないでよ。
私との楽しいトラウマから逃げられるわけないでしょう?
私と間違いを犯しちゃったんだよ?
もう戻れるわけがないじゃん。
他の誰かと恋をして誰かと眠っていても。
私とお揃いの悪夢の中で!
ずっと!
ずうっといっしょだよ。
最近ハマっているとある曲に雰囲気とか寄せてみました
本家様超リスペクトです( ˊᵕˋ ;)
足音。
幸せな時って、幸せな音がする。
たんたんたん
打楽器みたいに跳ねる音。
スキップして気分も跳ねる。
次は何があるのかな。
悲しい時は、切ない音がする。
すたすたすた
布を引き摺る悲しい音。
気分も引き摺ってしまうね。
次は何があるのかな。
怒った時って、怖い音がする。
どんどんどん
花火みたいに爆ぜる音。
気分も爆ぜて怖い音。
次は何があるのかな。
足音が聞こえないね。
ほら、何もない。
なんでだろうね。
次は何かあるのかな。
ずるずるずる
ずるずるずるずる
ずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずるずるずる
重いものを引き摺る音。
お引越しの音かな。
次は何があるのかな。
残念!
何もありませんでした!
終わらない夏。
やり残した事があるんだ。
俺、ちゃんと伝えれば良かったよな。
お前とは友達でいたいってさ。
なんて言ってもお前には聞こえないだろうって分かるさ。
ずっと白の前で泣いてるから。
俺はお前の傍にいるのにさ。
こんなに不甲斐ない俺より他の男選んだ方がお前も、
俺も幸せだったんだよ。
分かってくれよ。
お前のために俺は線を引いたんだ。
幸福の真ん中に白い線を。
恋愛友情の曖昧な線を上塗りしたんだ。
いきなり消えてごめん。
俺にも予想できなかったんだよ。
まさか病院に入れられるとは思わないじゃないか。
俺さ、お前に笑ってほしかったんだ。
結構はお前が元気で笑っていれば良かった。
だけどそんな俺がおまえを今泣かせてるんだよな。
返事してよなんて泣いてるんだもんな。
愛してるからだなんて泣いてるんだもんな。
俺はここにいるぞって。
馬鹿だなぁ。
気づけよ、俺はどうなってもお前の後ろにいる。
お前が死ぬまで支えてやる。
だから幸せになれ。
俺の分まで。
名前なんて呼んでも届かないだろうからさ。
誰かに気づかれても恥ずかしくないように気持ちをここに遺しておくよ。
お前なら気づけると思う。
線は引いても糸は途切れてないからな。
涙に染まる目元よりも鮮やかで、深くて。
それでもって強い血の色で結ばれてるんだ。
だから大丈夫。
これが俺の返事だけどさ。
早く気づけよ。
俺は待てないからな。
湿度と気温と談笑でもしていろよ。
どうせミモザも向日葵もリナリアもアネモネもこっちには無いからさ。
何度も言うけど俺は待てないからな。
何時か攫いに行く前に思い出に花を咲かせてくれ。
そうでもしないと終わらないんだ。
これは報われない円環。
伝えたいのに伝えられない。
抜け出す条件は俺の生存とお前の幸せ。
やり残しがあるから進めない。
だから終われない。
震える手を固く結び、再び光へ消えていく。
画面に映るはニューゲーム。
次は何になれるんだ。
何時幸せになれるんだ。
俺の話じゃない。
お前の話だからな。
手紙なんか書かせない。
俺のいるところで伝えろよ。
拝啓だなんてかしこまるなよ。
こっちこそ、名前を呼べよ。