Nonexistent person

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8/19/2025, 11:40:16 AM

なぜ泣くの?と聞かれたから。

それの答えが出なかった。
嬉しいはずだったのに涙が溢れて止まないから。
悲しいわけでも苦しいわけでも痛いわけでもないのにね。
ずっと、ずうっと一緒にいられるの。
その為にしたことなのに泣いちゃった。
適当に飲んで歩いて話して。
駅までの帰り道で駄々を捏ねて時間を稼いだの。
だってずうっと一緒にいたかったから。
終電を見送って帰れなくなったから明け方までの消耗戦に持ち込んで私だけを見ていてほしかったの。
そんな関係のくだらなくて誰にも話せないような青春だったけれども。
学校の参観日にすら親は他の子と私を較べて。
ちゃんと私を見てくれてない気がしたの。
だから明るさには期待しないようにした。
だってそうでもしないと気が狂いそうだったから。
私、いつだって死にたくて仕方がなかったの。
こんな見られない顔なんて大切にしたくなかった。
だけどあなたと出会って。
私は貴方と過ごす時間がこの上なく嬉しくて。
とても楽しくて忘れられなくなった。
だけどあなたが気付かないから。
そんなに喜んでいなかったから。
離れ離れになって埋められない穴が空いて。
私だけの一方通行みたいじゃない。
なんて、誰かの決めつけたバグでしょう?
だこら私は貴方の記憶として添い遂げるの。
大切なものは貴方しかいない。
だけど失っちゃった。
私も貴方と間違いを犯しちゃったの!
絶対に取り返しがつかないね。
だから穏やかな時も病める時も健やかなる時も。
私達の美麗で醜穢な思い出の中でずうっといっしょだよ。
貴方が優しい手つきで髪を乾かしてくれたから私、
もう全部どうでもよくなっちゃったの。
私、あなたのせいで壊れちゃったんだ。
左手薬指の外れなくなってしまった超合金で出来た仮初の愛みたいに。
何度も痛みとフラッシュバックするの。
私って貴方といた時が一番可愛かったなぁ。
本当に最低。
だから私が一生後悔として添い遂げてあげる!
大切なものって何?
私でしょ。
私だよね。
そうだよね。
そうだよね!
貴方だけ私の目を盗んで幸せになれるなんて思わないでよ。
私との楽しいトラウマから逃げられるわけないでしょう?
私と間違いを犯しちゃったんだよ?
もう戻れるわけがないじゃん。
他の誰かと恋をして誰かと眠っていても。
私とお揃いの悪夢の中で!
ずっと!
ずうっといっしょだよ。

8/18/2025, 5:05:14 PM

足音。

幸せな時って、幸せな音がする。
たんたんたん
打楽器みたいに跳ねる音。
スキップして気分も跳ねる。
次は何があるのかな。

悲しい時は、切ない音がする。
すたすたすた
布を引き摺る悲しい音。
気分も引き摺ってしまうね。
次は何があるのかな。

怒った時って、怖い音がする。
どんどんどん
花火みたいに爆ぜる音。
気分も爆ぜて怖い音。
次は何があるのかな。


足音が聞こえないね。

ほら、何もない。
なんでだろうね。
次は何かあるのかな。

ずるずるずる
ずるずるずるずる
ずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずるずる
ずるずるずるずるずるずるずるずるずるずる





重いものを引き摺る音。
お引越しの音かな。
次は何があるのかな。
















残念!
何もありませんでした!

8/17/2025, 3:25:14 PM

終わらない夏。

やり残した事があるんだ。
俺、ちゃんと伝えれば良かったよな。
お前とは友達でいたいってさ。
なんて言ってもお前には聞こえないだろうって分かるさ。
ずっと白の前で泣いてるから。
俺はお前の傍にいるのにさ。
こんなに不甲斐ない俺より他の男選んだ方がお前も、
俺も幸せだったんだよ。
分かってくれよ。
お前のために俺は線を引いたんだ。
幸福の真ん中に白い線を。
恋愛友情の曖昧な線を上塗りしたんだ。
いきなり消えてごめん。
俺にも予想できなかったんだよ。
まさか病院に入れられるとは思わないじゃないか。
俺さ、お前に笑ってほしかったんだ。
結構はお前が元気で笑っていれば良かった。
だけどそんな俺がおまえを今泣かせてるんだよな。
返事してよなんて泣いてるんだもんな。
愛してるからだなんて泣いてるんだもんな。
俺はここにいるぞって。
馬鹿だなぁ。
気づけよ、俺はどうなってもお前の後ろにいる。
お前が死ぬまで支えてやる。
だから幸せになれ。
俺の分まで。
名前なんて呼んでも届かないだろうからさ。
誰かに気づかれても恥ずかしくないように気持ちをここに遺しておくよ。
お前なら気づけると思う。
線は引いても糸は途切れてないからな。
涙に染まる目元よりも鮮やかで、深くて。
それでもって強い血の色で結ばれてるんだ。
だから大丈夫。
これが俺の返事だけどさ。
早く気づけよ。
俺は待てないからな。
湿度と気温と談笑でもしていろよ。
どうせミモザも向日葵もリナリアもアネモネもこっちには無いからさ。
何度も言うけど俺は待てないからな。
何時か攫いに行く前に思い出に花を咲かせてくれ。
そうでもしないと終わらないんだ。
これは報われない円環。
伝えたいのに伝えられない。
抜け出す条件は俺の生存とお前の幸せ。
やり残しがあるから進めない。
だから終われない。

震える手を固く結び、再び光へ消えていく。
画面に映るはニューゲーム。
次は何になれるんだ。
何時幸せになれるんだ。
俺の話じゃない。
お前の話だからな。
手紙なんか書かせない。
俺のいるところで伝えろよ。
拝啓だなんてかしこまるなよ。
こっちこそ、名前を呼べよ。

8/16/2025, 12:56:59 PM

遠くの空へ

拝啓
そちらの生活は慣れましたでしょうか。
私の方は全然慣れなくて、未だに胸に空いた体温が時折恋心を締め付けてきて苦しいです。
あなたがいなくなったと聞いて初めは私何かの御伽噺だと思っていました。
だって直ぐに死ぬような弱い人じゃなかったもの。
そんなことを思っていたのは私の主観で、実際のあなたの弱さに気づけなかった。
そんな私にも責任はありますよね。
拝啓だなんて格好つけたけど私らしくもないですよね。
天国、と呼べるかは別として。
あなたの幸せを、何時までも、何時までも祈っております。
ずっと、ずっと、大好きです。
あなたの骨が風の前の塵と同じ価値になっても。
何時か終わる花火より下の価値だとしても。
私にとってはどんな宝石よりも大切だから。
ねぇ、気が向いたらお返事をください。
私、幾らでも待てるよ。
死んでも待つからさ。
だから、お返事が欲しいの。
何時もみたいな明るい声で、一言。
ただ名前を呼んでくれればいいの。
霞掛かった声からはもう、分からないから。
大切でも声は薄れてしまうから。
だから、声が聞きたいの。
お願い。
一生の、お願いです。
私の全てを捧げてもいいのよ。
だから、また、声を聞かせて。
その形の綺麗な整った唇から、名前だけを。
吐いた息すら美しいだろう、その声を。
何度も言います。
何度でも言います。
また、声を聞かせてよ。
お返事、ずっと待ってます。
そしてその時に聞かせてね。
あなたの今いる遠い空の景色の事。
私への気持ち。
全部。
全部全部。
全部全部全部。
全部全部全部全部。
全部全部全部全部全部。
全部全部全部全部全部全部。
全部。
愛おしいから。
住むべき環境の変わり目ですが、
どうか、ご自愛くださいませ。

敬具。

2025/08/16
君の愛した私から。
私の愛する君へ。

8/15/2025, 10:00:55 AM

!マークじゃ足りない感情。

例えば何があるだろう。
初めて産声をあげた時か。
差し出された体温が優しかったことか。
初めて自然に足を踏み入れたことか。
初めて海を見た時か。
初夏満天の星に恋をした時か。
初めてテストが百点だった時か。
流星群の様に時間が過ぎて行くことか。
戻れない過ちを犯した時か。
病気になってしまった時か。
好きな人と両思いになった時か。
その人に振られてしまった時か。
他人に好意を向けられることか。
行為だけを求められた時か。
脈を流れる水に覚えがあったことか。
体にモニターが繋げられた時か。
本当に好きな人と出会ったことか。
幸せに結ばれることか。







考え出しても、やっぱり私には分からない。
吃驚する事は、悲しみにも、嬉しみにも、愛しさや辛さ、切なさにさえも変化できるから。
万年を通して語り継がれてきた感情でも、やっぱり語れないものがある。
だから吃驚で済ませてしまう。
だけどそれだけじゃあ足りないでしょう?
言葉にならなくても表現をして差し上げないと。
名前の無い感情さえ育ててあげなきゃ、駄目でしょう。
何時かそれが、植物の様に、花開く。
それがどんな色か、姿か分からなくても。
私には精一杯愛してあげる他、ないのですから。
だから、名前を付けるんです。
まだ語り足りない感情を育てる為に。
可愛い、私だけの、大切な感情のために。
それに裏切られてしまっても、結局は糧になるのです。
経験値として、積まれていくのです。
だから、無駄ではないと思います。
無駄な感情なんて、一切ないのですから。

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