8/3/2025, 11:49:21 AM
ぬるい炭酸と無口な君
泡が弾けた。まるで花火の様だ。
儚く散る線香花火にそっくりでそれはすぐに空気に溶けてしまう。
君からも僕はこう映っているのかな。
何でもいいから覚えて欲しい。
そんなことを考えてもきっと無駄だ。
若いうちに認知症になって僕の事なんて何も知らないんだから。
もう他人なのに僕の脳裏には君が住み着いていて声も忘れたはずなのに話しかけてくれる君が愛おしくて、今はいない明るい君をずっと夢見てた。
人魚姫でさえ好きな人の為に泡になれたのに僕はそんな覚悟すら決められなくて君の中の僕の延命処置を続ける為だけに毎日話しかけているようなものなんだ。
もう口も開かないでこちらを硝子玉の様な綺麗な目で見つめる君には分からないと思うけれど僕は君が好きだった。
本当に、本当に好きだった。
そんな事を思い返しながらラムネ瓶に口を付けた。
それは君の体温のようにぬるくてそれが妙に気持ち悪くて優しい味がした。
もう戻らない日々に。
藍色に散る夏の風物詩に意識を投げながらそう思った
8/2/2025, 5:01:43 PM
波に攫われた手紙
私だけが知る秘密
小さな瓶に想いを詰めて遠くの誰かに届けばいいのに
いつも返ってくるのは泡と藻屑とシーグラス
なんでかな
何時もより空が暑くて青に濁ってて手を伸ばせば触れそうなのに綺麗なはずの空が汚く見えて触れたくない
私は何時までここにいればいいのかな
私は何がしたかったのかな
見失いたくないな
攫われてもいいから想いを詰めて波に流したら
いつか誰かに届くかな
でもその時に私はいるのかな
私も手紙も攫われて消えたりしてないかな
私が居なくてもお返事が欲しいな
だって誰かに気づいてほしいもの
無駄なことだってわかってるのにね
私もきっと