『ところにより雨が……』
天気予報はかろうじてもっていた天気を、瞬く間に雨へと変えていった。
2階の作業部屋から眺める外の様子はまだ曇り。
しかしそろそろポツリといくのだろう。
私は低気圧の影響だが、昔の腰痛がじんじんきていた。
「桜も散るのかなぁ」
痛い腰を擦りながら寝室へと行き、仮眠をとることにした。
数時間後……
「やばい、寝すぎた」
慌てて起きたのは、外から聞こえる雨の音が耳に届いたからだ。
外を見てみれば、思った以上に土砂降りではないか。
「あぁ、これじゃ桜散っちゃうよ……」
しっかり花見もできないうちに、桜の季節は雨に取り上げられてしまうかのようだった。
あれから保護猫カフェのサイトをよく見ているのだが、なかなか我が家に迎え入れる子には巡り会えなかった。
私達にとっての特別な存在になる新しい家族は、そう簡単に見つからないものだ。
「いやいや、諦めてなるものか。……春になったら、また直接保護猫カフェ行ってみよう」
そしたら、運命の出会いがあるかもしれない……
「あーくそ」
私は台所に立ち尽くし、目の前にできた焼き菓子もどきをみて嘆いていた。
テレビでやっていた簡単な焼き菓子の作り方を真似して作ってみたのだ。
それなのに、テレビで観た完成品のケーキとはまるで別物。
いや、食べられもしないよくわからないモノと化してしまった。
「はぁっ……」
せっかく買った材料が、ただバカみたいに無駄になってしまった。
テレビを丸々信じた自分が馬鹿だった。
それなりにスキルがなきゃ、簡単なケーキすら作れないってことだったんだなぁ……
本当に今日はぐうたらし過ぎたと自分でも思う。
朝はいつも通り目覚めたけど、やったことといえば洗濯機を回してそれを干したくらい。
そのまままた布団に潜り込んでクロちゃんと二人ぼっちで昼過ぎまで惰眠を貪りつくし、そのあとやっと重い体をおこして出かけたのだ。
しかも帰宅してからすぐにまた布団に寝転んだりして、まさに自堕落な休日だった。
もったいない使い方をしてしまったなぁとは思うんだが、何故だろう布団の魔力には抗えない一人と一匹だったのだ。
「あぁ…」
気付くといつもの寝室で、私は布団の中。
「……」
左脇にはクロちゃんが仰向けで寝ている。
さっき、めちゃくちゃいい夢をみていたのに、いいとこでアラームが鳴るんだもの…
「あぁー……なんだよぅ。あと少しだったのに…」
私は布団の中で身もだえした。
あぁ、何で夢が醒める前にあのステーキを食べなかったんだ…