奇跡をもう一度
「ねぇ…そろそろ起きたらどう?」
冷たい彼女の手を握りしめ
小さく呟く
「また…あの時見たいに、私のこと呼んでよ…ッッ」
『〜〜ちゃん!』
ニコリと笑う彼女が、私の頭から離れない
可愛らしいあの子が、なぜこうなってしまったの?
「お願い、もう一度だけ、一度だけでいいから…」
奇跡をもう一度…ッッ
たそがれ
綺麗な夕日を見てぼーっとする
そしたら大好きなあの人に名前を呼ばれた…。
なんて妄想、少し頭に残ってしまう。
明日のあの人は何をしているのかな
好きな人、できてないといいな…なんて
想いを胸に今日もあの人に伝えられない
どうすればいいのかすらもわからないこの心が
どうも焦ったくて
あーぁ…
いつになれば私、伝えられるんだろうな
きっと明日も
あぁ、明日がくる
来ないで欲しいと願っても
時は進み、冷たく流れていく
最近変なことを考えるようになった
“消えたい”
と
あなたは考えたことがあるだろうか
僕はこの言葉が頭の中に残り続けている
助けてと言っても
誰も手なんて差し伸べてくれない
ねぇ
どうすればいいのか
わからない
きっと明日も
汚れた自分で、
苦しいままだ。
別れ際に
「ねぇ、待って」
静かにそう呟く
男は振り返り、
「どうしたの?」
と問う
「…やっぱりなんでもないや」
数秒黙り、なにを考えたのかそう答え
少女は男にまたねと呟く
あたりには雪が降り、息は白くなっていた。
そして少女は思い出のマフラーを握り締め、
ポケットの中で冷たく冷えた手を強く握っていた。
(どうして、伝えられないんだろう)
本当の気持ちは心にしまったまま
彼女のため息は白く染まり、空へと消えていった。
通り雨
ねぇ聞いて
今日ね晴れてるのに雨が降ったの
お母さん
あれはなに?
私、初めて見た!!
ニコリと少女は笑う
その少女に母親は優しく笑いかけ
あれはね、神様の涙だよ
母親はそう答える
少女は小さく首を傾げ
神様も泣いちゃうの?
と問う
そうよ
神も喜び、泣く時があるの
母親はニコリと笑い
少女は
そうなんだね
と答える
空にはとても美しい虹が浮かんでいた。
神も、涙し笑うことがあると言うことを
あなたにもわかっていて欲しい