誰もいない教室
日が傾き少し暗くなる夕方
何処からか聞こえる
歌の無いメロディーだけの童謡
忘れ物を取りに戻る教室には
誰もいない教室
静まり返ったその教室は
寂しさすら感じる
不気味にさえ思える教室を
忘れ物を持って出ていく
1人教室を後にする
少しの恐怖を感じながら
信号
あの子は全然気付いてくれない
さっきからずっと送っているのに
全くこちらを見もしない
早く気付いて
ずっと送ってるよ
やっとこっちに気付いてくれた
それは何?教えられないよ
それは勿論秘密だよ
あの子と僕の信号なんだからさ
言い出せなかった「」
沢山の花が咲いているこの丘
その中でも一際目立つ一輪の花
毎年咲くこの花を見つめる
澄んだ青空と微かに吹く風
あの時に似ている
もし今、あの時に戻ったならば
決して巻き戻せないこの時に
あの子がいたならば…
淡い記憶と共に
一輪の花が揺れる
きっと今なら言えるかな
言い出せなかった「 」
ページをめくる
本というものは幾重にも紙が重なる
それを一枚一枚ページをめくる
一枚に残す言葉や数字を
人々は、わかりやすく
解釈出来るように作っていく
頭の中で必死に考えた一ページを
新たな人が読み
更なる解釈を持って
未来へと続いていく
彼らの手によって
時には便利に時には害をなす事もある
興味を持ってページを巡る
それはきっとこれから更に
未来へと繋がる希望になるかもしれない
夏の忘れ物を探しに
いつの頃だったろうか
今ほど暑くない夏の日
遠くで確かあなたがいた
あなたに声をかけた時
とても優しい笑顔で微笑んで
けど何故か少し切なく見えた
日が傾きかけて互いに背を向け
家路に帰る
次の日もう会う事は無かった
切なく見えたのはきっと
この日の事をわかっていたから
そして優しい笑顔を一生懸命
作っていたんだね
あなたは覚えているかな?
あの時の忘れ物を探しに
あの頃の記憶という忘れ物をね