『これで、よしと』
ここは、私の研究室で、ロボットの修理をしている。
私は、機械のパーツをはめ込むと、スイッチを押した。
『こんにちは、あなたは誰ですか』
起き上がったロボットは、私にたずねた。
『僕だよ。ダンだよ』
『ダン?私の知っているダンは、子供のダンしかいませんが』
『君を直すのに、大人になっちゃったんだよ』
ロボットのベンの手をつかんだ。
『もう、さよならなんて言わないでくれよ』
私は、軍人で今、敵国に攻めている。
目の前には、ミサイルのスイッチがあった。
このスイッチを押すと、何千発のミサイルが撃たれることになる。
『敵国が攻めてくる、こちらが先に攻撃しなくては』
悪魔が、ささやいてくる。
『これは、聖戦です。神も許してくれるでしょう』
天使が、ささやいた。
スイッチを押せば、敵だけてなく、子供や老人も死ぬだろう。
誰も止めてくれないか。
私は、スイッチの上に指を置いた。
私は、夜遊びはしない。
なぜなら、眠いという理由以外に、
夜までずっといたいと思える人がいなかったからだ。
友もいる。家族もいる。仕事仲間もいる。
みんないい人だ。
だが、ずっといたいと思える人がいない。
一緒にいても、やがて一人になりたいと思う。
人との距離が難しい。
中学の時にとても可愛い女の子がいた。
好きだけど、付き合う自信がないという告白をした。
当然振られた。黒歴史である。
あの時、ちゃんと告白して、付き合えたなら、
きっと、楽しくて、嬉しくて、
あっという間に、おじいちゃんになっていただろう。
そういう人生を送りたかった。
年老いて、入院生活が続いていた。
たが、徐々に体の力が入らなくなり、私は、死んだ。
幸いなことに、医者が余命わずかと伝えていたので、家族は、すぐに来てくれた。
『お父さん!』
娘は、私の手を握った。
どうやら、死んだとしても意識はあるらしい。
見えはしないが、音が聞こえる。
妻や孫の泣き声が聞こえた。
泣かないで下さい。
私は、あなたたちの家族になれて、幸せでした。
そういえば、父が入院して死んだ時、
誰もいなかったので、
私は、ニッコリと笑った。
死んでも、見えなくてよかった。
朝起きて、口の中が渇いてると、冬が始まったと思う。
押し入れから、コートを出すのもそうだ。
布団が出るのも、億劫になる冬は、早く終われと思うが、花粉が控えている。
自分に魔法が使えたら、
気温が完璧な秋の日を300日にしたい。
残りを春夏冬で、三等分にすれば、
日本は、平和になる。