私は彼氏のことが大好きだ。
私の好みを把握してくれているところも、
優しい声も、
顔も、
性格も、
何もかもが好き。
嗚呼、できることなら私の手の中にずっと封じ込めてしまいたい。
私のことしか考えられないように、私のことしか見られないようにしてあげたい。
ああ、いいこと思いついた…!
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ねえ、×××。
さよならを言う前に、一言だけ言わせて。
「愛してる」
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「また…後でね。」
2023/8.21 さよならを言う前に
私は、人間が、怖い。
どんなに一緒にいても、どんなに親しくなっても、心の中にずっと恐怖が巣食っている。
どうせこれも嘘。
これもこれもこれもこれもどれもこれも嘘。
そう思うと、不信感で心が隅まで満ちる。
なんで私はこれほどにも人を信用出来ないのか。
それは、私が嘘ばかり吐いているからだ。
その人にとって都合のいい役や当たり障りのない役を演じているからだ。
心の中でーーーー
何を思うか分からないから。
今日も私は仮面を被る。
私が私であるために。
人なんかを信用しないために。
惑わされないように。
私は、その見えない仮面を小さな頃から捨てられ
ていない。
2023/8.17 いつまでも捨てられないもの
気づいたら、トラックに轢かれそうになっていた。
最愛のあの人からもらった麦わら帽子。
赤いリボンの装飾が巻かれていて、
最近暑いね。と言い合っていた夏の日にさり気なくプレゼントしてくれた宝物。
『似合ってる。』
って少し頬を染めながら言ってくれたっけ。
でも、。
あの人はもう居ない。
あの日は強風注意報が発令されていた。
彼は飛ばされた麦わら帽子を拾おうとしてトラックに轢かれそうになった私の身代わりとなってしまったのだ。
沢山、たくさん恨んだ。
トラックの運転手を。
風が強い日なんかに麦わら帽子を被って出かけた私を。
私なんかの身代わりに…なることを…選んだあの人を…。
彼を…恨んじゃいけない。
私を助けてくれたのだから。
でもやっぱり。。
「なんで…なんで…また置いて逝っちゃったの…?」
掠れた声でそう呟く。
そういえば、
『君の声は澄んでいて綺麗だね。』
と言ってくれたっけ。
もう、ちゃんと声を出すことも出来ない。
嗚呼、もし。もし、あの時こうしていたら。
無駄だと分かっていても、そう考えることを辞められない。
だって。だって!
「彼をまた…助けられなかったんだから…」
そこで意識が途切れた。
目が覚めた時、私は…
2023.8/11 麦わら帽子
学校からの帰り道。
私はバス停からの道のりを歩いて帰っていた。
じっとりと張り付く熱気が鬱陶しい。
部活のせいで帰る時間が遅くなってしまい、空を見ると無数の星が瞬いていた。
その時。
どこからか太鼓の音が聞こえてきた。
お祭りでもやっているのかな?
そう思うと、自然と音の方へと足が向かっていた。
密集する住宅を無理やりどかして作ったような細い道に体を押し込んで歩いてゆくと、小さい頃よく行っていたお祭りとそっくりなお祭りがやっていた。
そこには小さな子供しかいなかったが、少女は気づかなかった。
「わあ……!」
ふと、急に世界が大きくなった気がしたが、気のせいだと思ってあまり考えなかった。
少女は、あれから10年たった今も祭りの中から出てきていない。
その祭りの名は、『時戻りの祭り』。
昔に戻りたいと強く願う者だけがたどり着くことの出来る不思議な祭り。
ともするれば、素晴らしい祭りだと思えるだろう。
だが、その祭りにはひとつ欠点があった。
それは、
「一度入ったら二度と出てこられない。」
そう、云わばそれは、入った者を閉じ込めて出られなくする、鳥籠なのだ。
2023年 7/28 「お祭り」
なんのために生きてるんだろう。
なんでみんなは当たり前のように生きているんだろう。
生きていて、いいことなんてあるだろうか。
その時、神様が舞い降りて、こう云った。
「生きることに救いを求めちゃあ、いけないよ。」
2023.7/27 「神様が舞い降りてこういった。」