no name_1103

Open App
12/24/2022, 2:31:18 PM

#6 大切な人はいなくなってしまったイブの夜。
 プレゼントだった、砂時計を眺めて過ごしていた。
 時間とは、あっという間だけど、とても長くもある。

 もう僕には関係ないみたいに、「Merry Christmas !」なんて言葉は、聞こえなくなってしまった。
 砂が落ちる音を集中して。

___イブの夜

12/23/2022, 10:33:38 AM

#5 前触れもなく、いなくなってしまった家族からの最後の  
 プレゼントはただ、素っ気なく机に置いてあった砂時計だった。何もない日に手紙もなく、何の事なのかもわからないまま、突然渡す。両親は、そういう人だった。
 思いやりなんて感じないのに、渡されたものはいつの間にか宝物になってしまう。

 あの日も、こんな日だったな。ガラスの中で、サラサラと落ちる綺麗な砂を見ながらそう思った。

___プレゼント

12/22/2022, 11:33:27 AM

#4 ゆずの香りがするお湯に浸かる。
 寒い季節だからこそ、気持ちが良い。窓越しに聞こえる風の音は激しいが、家の中はぽかぽかとあたたかかった。でも、僕は一人孤独で、心は一向にあたたかくならなかった。

___ゆずの香り

12/21/2022, 10:25:40 AM

#3 大空を見上げる。ふぅ〜。
 冷たい空気の中、息を吐くと白くなっていた。寒っ……。
 そう思いながら、自分が生きていることを感じた。

___大空

12/20/2022, 11:59:53 AM

#2 僕は何も知らないまま、生きていたかった。

 結局は知らないといけないんだ。現実だとは思いたくもなかったけど、目を背けることもできない。
 ………家族が亡くなっていた。

 残酷な事が起きていることなんて知らない人々は、ベルの音が鳴り響く幸せな世界に浸っていた。

___ベルの音

Next