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#5 前触れもなく、いなくなってしまった家族からの最後の  
 プレゼントはただ、素っ気なく机に置いてあった砂時計だった。何もない日に手紙もなく、何の事なのかもわからないまま、突然渡す。両親は、そういう人だった。
 思いやりなんて感じないのに、渡されたものはいつの間にか宝物になってしまう。

 あの日も、こんな日だったな。ガラスの中で、サラサラと落ちる綺麗な砂を見ながらそう思った。

___プレゼント

12/23/2022, 10:33:38 AM