#41 キャンドル🕯の光がすごく美しくて、温かい。
火の熱と温かい色で心が落ち着く。
寒い夜に一つの小さな炎を見るのはすごく素敵だった。
少し病室から抜け出して。
少しキャンドルを見つめてから、そろそろ帰ろうと病室へ向かう。その時、反対側の廊下に人影があるのを見た。
ライトを持っていないため,看護師ではなさそう…。
不気味に思いながら、どんどん近づいていく。
お互い、すれ違う時は顔を伏せていてよく見えなかったが、同じように入院している子のようだった。
私よりは身長が高い。すれ違ったあと、振り返る。
誰かに雰囲気が似ているような………。
一瞬、そう思ったけれど、誰、とはすぐに分からずそのまま、病室に帰った。
____キャンドル
#40 いつまで続くかも分からない、入院生活が続く。
ベットの上で、彼との少ない、でも想いはたくさん感じた過去を思い出す。どうなっているのかな、何も分からない事実。
せめて、退院させてよ。そう思ってしまった。
残りの人生を楽しませて、と。
___たくさんの想い出
#39 だんだん寒くなってきた。
私は、倒れてから病院に運ばれた。ついに、という感じだったが、やはり入院もすることになる。
病室の窓から、それを眺める。あと少しでもう、クリスマス。
今年のクリスマスも、病院にいるのだろうか。そんな不安がよぎるけど、そうはさせない。
彼に会いたかった。どうなっているだろう。ただ、そう思うだけ。私には何もできない。
冬になったら、クリスマスソングを口づさみながら、窓越しに雪を見る。それを彼とできたら。友達とできたら。
きっと、願いは叶わない。そんなことくらい分かってるけど、やっぱり願ってしまう。
点滴と繋がって、機械の音に囲まれながら、冬に近づいてきた夜空を見上げる。病室の灯りを暗くすると、星が薄らある。
弱々しくて美しかった。
病室に眠っているただ一つの、か弱い命のように。
___冬になったら
#38 お互いに、はなればなれになった。
彼は倒れた次の日は休んでいた。今日だけではないだろう。いつまで休むのかも分からない。
ただの体調不良には見えなかったから。
そして、私もその日の夕方、久しぶりだったが、ついに激しい発作が起きた。余命宣告されてから、1年も過ぎている。
前までは発作も時々で、宣告されてからすぐは実感が湧かなかった。しかし、1年も過ぎると、徐々に、頻繁に発作が起きているなとは実感し始めていた。
発作に苦しみ、意識が朦朧とする中、救急車のサイレンが聞こえる。…彼は今どうしているのだろう。一瞬、そんな思いが頭をよぎったが、すぐに目の前が真っ暗になってしまった。
___はなればなれ
#37 彼が倒れた。
子猫のように小さく、丸まっている。
少し離れた場所からはそう見えた。
すごく心配になって、駆け寄る。混乱しながらも、彼に声をかけた。それでも、返事はなく、代わりに荒い苦しそうな息が聞こえてくる。うずくまっていて、何かの痛みに必死に、耐えているようだった。
…………自分が発作を起こした時みたい。一瞬、そう思った。
彼の苦しみを自分の頭の中に流れてくるみたいに、詳しく感じるような気がした。少し前、私が苦しんだ時に助けてくれたから、私も助けないと。頭ではわかっているのに、彼が苦しむ姿が少し怖くて、何もできなかった。
その時に先生が来て、すぐに運ばれた。
離れた場所で、運ばれていく彼を見る。スローモーションで、映像が流れているかのようだった。信じられない光景だった。
___子猫