#31 脳裏に、日々の出来事が浮かぶ。色々な事を考える。
秘密を隠すために、多くのことを計算して行動する。
だから、いつも頭の中はいっぱいいっぱいだった。それでも、秘密がバレてしまうから絶対にミスはできない。
……倒れ、崩れそうな身体と心を必死に保ってきた。
___脳裏
#30 毎日、生きている意味などあるのだろうか。
自分の未来を知っている。
生きられる時間が分かっているのに…………。
ただ、一人で抱え込んで。
そして、人と比べてしまう。なんで、自分は駄目なんだろう、生きられないんだろう、と。何も悪い事をしていないのに。
そんなことを考えること自体、意味がないし、人と比べたってどうにもならないのに、とも思う。
この世の中も、意味などないことで溢れている。
なぜ、何もしていない人が死んでいくのか。
なぜ、酷いことをした人が生きているのか。
意味なんて、説明できるはずがない…。
そう思うと、額には雫をつたっていた。
___意味がないこと
#29 私と"彼"の同じように生まれて、毎日同じ時間を生きると思っていた。でも、違ったみたい…。
一日が無事に終わって、一日のことを振り返る。時間を大事にできたか、と。どんどん自分が生きていける時間は減っていくのだ。残された時間は、"彼"と一緒なわけがないし、きっと、同級生の中では一番短い。
そう考えると、涙が溢れ出してくる。なんで、自分だけなのだろう…と。寝る前に泣いて、でも、残された時間を必死に生きようってまた思い直す。毎日がその繰り返しだった。
___あなたとわたし
#28 外は、柔らかな優しい雨が降っていた。
昨日のことを思い出す。
発作が激しくて、学校で起きたということも辛かったけど、
"彼"が助けてくれたおかげで安心して、落ち着くことができた。 発作も無事に治まって、すごく心配されたけど、「ありがとう」と丁寧にお礼を言って離れた。
早朝から、雨の音が聞こえる。いつもよりも寒くて、暗かったけど、優しい雨の音が心を穏やかな気持ちにさせた。
"彼"のことも思い出しながら、幸せを感じた。
どんどん、命が縮まるのも感じる毎日。
でも、この幸せな気持ちのままなら、もう、この世からいなくなってもいいかも、と少しだけ考えてしまった。
___柔らかい雨
#27 ただ泣いた日。その次の日は、学校だった。
自分の未来が怖くなり、どうにか1年はやってこれたのに、今になって苦しくなってしまった。
"彼"が優しくて心配してくれてから、1人がどんなに心細いことなのにか…。
1人で気持ちは閉じ込めておくって決めたはずなのに、"彼"という一筋の光が美しくて。
演じている明るい自分で過ごす日々が楽しい、って思おうとしているということにも気づいた。
そして、人に支えてもらえることが、
どんなに嬉しいのかを知った。
苦しんでいるところを見られてから、
学校でも発作が起きるようになってきた。
完全に、病気が悪化している。
できる限り、1人でトイレに駆け込んで、薬を飲んで発作が落ち着くのを待っていたけど、なかなか乗り越えられなくなっていた。そんな時に、"彼"は声をかけてくれた。
その日は、泣いたあとで目が腫れていたからだろう。
なおさら、いつもとは違う自分だったのかもしれない…。
薬をどうにかポケットから取り出している時、「どうした…?」そう言って身体を支えてくれたのだった___。
___一筋の光