絆。とても良い響きの言葉。結束や愛、友情。そんな聞こえの良い言葉。
でも聞こえが良いから、他人に一度感じちゃえば好き勝手に使われて当人はダメになっちゃう。だから絆されるなんて言うんだよ。
忘れかけた羽が私の足元に降り落ちて来た。一体どこの鳥が落としたのだろうか。その主を探しに視線を上げるも、羽ばたく獣は見当たらない。
単なる紅色の気まぐれか、はたまた風に運ばれたのか。否、それはないだろう。優しい冷たさは頬を撫ぜて居ない。
きょろきょろ。上げた視界を探しているうちにふと、どんよりとした空に気がつく。
雲はひとつない。しかしどこか晴れやかとは言い難い夕刻。晴れぬのは愛に染まらぬ私の心か、それとも藍に染まらぬこの空か。
足元の羽に視点を落とす。白く、暖かそうな羽毛。いつか見た、愛おしきの象徴。
晴れた空、晴れない私。
物憂げな空。
愛おしき人よ。愛おしかった人よ。この造花を受け取っておくれ。
花は作り物とはいえ、私のこの気持ちは、この想いは。嘘偽りのない真実。
キミの中で私はきっと小さく、なんてことのない存在であっただろう。それでも、どうか忘れずに居て欲しい。なんて私のエゴ。
この想いを押し殺して接して来たけれど、真っ当な友情なんてもう繕えない。どうしたって愛が溢れ出る。
三つ色の造花。キミは受け取ってくれるだろうか。どうか花言葉なんて、調べないでおくれ。
勿忘草。
安心と不安。
定職は前者、不定は後者。
裕福は前者、貧乏は後者。
持家は前者、借家は後者。
強きは前者、弱きは後者。
不滅は前者、儚きは後者。
キミは前者、ボクは後者。
特別な夜。それはキミと居る夜。長くも短い、甘美で艶めいた、愛おしい夜。
特別な夜。それはキミを想う夜。悠久の如く長くはあれど、不思議と満たされている夜。
特別な夜。それはキミの居ない夜。そばに居るのが当たり前になっていた夜。
特別な夜。それはキミへ願う夜。どこに居たとしても、キミが誰を想おうとも、キミの幸せを願う夜。
特別な夜。