愛おしき人よ。愛おしかった人よ。この造花を受け取っておくれ。
花は作り物とはいえ、私のこの気持ちは、この想いは。嘘偽りのない真実。
キミの中で私はきっと小さく、なんてことのない存在であっただろう。それでも、どうか忘れずに居て欲しい。なんて私のエゴ。
この想いを押し殺して接して来たけれど、真っ当な友情なんてもう繕えない。どうしたって愛が溢れ出る。
三つ色の造花。キミは受け取ってくれるだろうか。どうか花言葉なんて、調べないでおくれ。
勿忘草。
安心と不安。
定職は前者、不定は後者。
裕福は前者、貧乏は後者。
持家は前者、借家は後者。
強きは前者、弱きは後者。
不滅は前者、儚きは後者。
キミは前者、ボクは後者。
特別な夜。それはキミと居る夜。長くも短い、甘美で艶めいた、愛おしい夜。
特別な夜。それはキミを想う夜。悠久の如く長くはあれど、不思議と満たされている夜。
特別な夜。それはキミの居ない夜。そばに居るのが当たり前になっていた夜。
特別な夜。それはキミへ願う夜。どこに居たとしても、キミが誰を想おうとも、キミの幸せを願う夜。
特別な夜。
ひらりはらり。黄土には少し満たない色が空を舞い、湿った地へと落ちる。それに見惚れていたらまた、シャッターにかけていた指を動かすのを忘れてしまった。
枯れた草木や葉、花でしか感じられない哀愁混じりの感触。それに魅入られてレンズを構える秋の暮れ、もう3年になるが未だ納得の行く一枚は撮れていない。
それはきっと私自身が、心動かされる瞬間と言うのは前後の脈絡があってこそだと、どこかで感じてしまっているが故なのだろう。
もちろん一枚の写真で感動することだってある。しかしそこに自分の手が加わるとなると、どうしたって納得できないものだ。
思慮を巡らせていたらまた、目の前で一枚。音もなく、濡れた足元へと茶色いそれが落ちる。まるで私を見ているような、渾身の一枚なんて撮らせないぞとでも言いたげに、眼下のひとひらはそこに在る。
ひゅうるる、思わずコートを深く着被る。冷たい風が吹いた。目の前にあった枯葉は、冷えた空気に攫われて、何処かへと吹いていったらしい。どうか、かの葉が最後に見る景色が、雨傘の葉の裏でありますように。